ページ3
「チャオー!」
チャッコーは起き上がり、ものすごい勢いでリュウ君に向かって突進します。
「な、なんだよ、あっちへ行けっ!」
リュウ君は、チャッコーのあまりの迫力にたじろぎながらも、チャッコーに向かってふっと息を吐き、それは炎となってチャッコーに襲い掛かります。
でもその炎は、チャッコーには当たらず、チャッコーの横顔を掠めながら、空中に消えていきました。
どかん!
ものすごい衝撃を受けたと思ったら、リュウ君の体は遠くのほうへすっ飛んでいました。
ごろごろと転がっていくリュウ君をチャッコーは眺めて…はおらず、ぶつかっていったチャッコーも、ごろごろと転がっていました。
しばらくうずくまって「こ、コレは痛いチャオ…」とか呻いていましたが、すぐに起き上がって、木の前に仁王立ちします。
そして、大きな声で叫びます。
「この木は絶対、絶対僕が守るチャオ!」
顔は泣きそうで、声は裏返っていました。
でも、その小さな手を大きく広げて、チャッコーは木を守ります。
力の限り、守ります。
「…ふん」
むくっ、と起き上がったリュウ君は、チャオガーデンを出て行きました。
子分たちもあわててあとを追っていきます。
チャオガーデンには、チャッコーだけが残されました。
「…や、やったチャオ…」
その場にぺたんと座り込むチャッコー。
チャッコーは見事、大切な木を守りました。
根元で赤々と輝く小さな炎も、がんばったチャッコーを祝福してくれているかのよう………ん?
「…わー!大変チャオー!」
なんと木の根元のすぐ近くで、小さな炎が燃えています。リュウ君が炎を吐いた時、火の粉が飛び散ったようです。
とても小さいですが、根元のすぐそばです。燃え移ったら大変です。
「は、早く水をー!」
ぞうさんジョウロを取り出し、水を汲みに行こうとした時です。
じゅっ。
と、という音を残して、炎は消えました。たった今炎があった場所には、見覚えのある靴があります。
「ナックルズ!」
ナックルズが、炎を踏み潰したのでした。
…
「おーおー、ずいぶん立派になったもんだ」
立派に育って木を見て、ナックルズは感心しました。
「チャオ約束は守ったチャオ!ちゃんと木の世話をして、木のコトを守ったチャオ!」
「あぁ。でも、まだ約束は終わってないぜ」
「チャオ?」
「コイツが実をつけて、それを食べたら、な」
「チャオ~!」
チャッコーは、ぞうさんじょうろにみずをくみ、鼻歌を歌いながらチョロチョロと根元に水をやり始めました。
水をやった後は、さっきしそこねた、早く大きくなあれダンスです。
「チャオ~、実がなるのが楽しみチャオ~♪」
完