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――種を植えてから、数日後。
始めはチャッコーよりもずっと小さかった芽ですが、あれからあっという間に成長していき、もう立派な木となっていました。
「チャオ~、大っきいチャオ~」
チャッコーが立派に育て上げた木を、チャッコーは根元から見上げました。踊りが効いたのかもしれません。
ですが、木のてっぺんに、丸い実はまだ実っていないのでした。
「きっともうすぐ実るんだチャオ~、楽しみチャオ~♪」
チャオは鼻歌を歌いながら、大きくなった気の根元にチョロチョロと水をやります。
さて、この後は早く大きくなあれダンスを…と、チャッコーが踊ろうとしたその時です。
後ろから声をかけられました。
「おい、何してんだよ」
「チャオ?」
チャッコーが振り向くと、そこにはドラゴンパーツをつけたチャオがいました。その両脇に、もう二人チャオがいました。
このドラゴンパーツをつけたチャオ、名前をリュウと言います。
このチャオガーデンのボス的存在で、チャオカラテで彼に勝てるチャオはいません。その腕前は、なんと免許皆伝です。
そして、チャッコーになにかとちょっかいを出してきます。いわゆる、いじめっ子です。両脇の二人は、いわゆる子分です。
「チャオ~、リュウ君、おはようチャオ」
「うるせぇ、なにしてんだって聞いてんだよ」
リュウ君はチャッコーを睨みつけます。でもチャッコーは、とくにひるんだり様子も見せません。
笑顔で応対します。
「チャオ、この木見てチャオ!僕が育てたんだチャオ!凄いチャオ~!」
チャッコーはわいわいはしゃぎますが、リュウ君は怖い顔のままです。そして言います。
「俺のガーデンに勝手にこんなモノ植えやがって、どうしてくれんだよ」
「チャオ?ガーデンはみんなのモノチャオよ」
「うるせぇ!ココでは俺が一番強いんだ!だからこのガーデンは俺のモノだ!」
両脇では、子分の二人が、そーだそーだ、とか、ココは親分のモノだ、とか言っています。
リュウ君は、このガーデンで一番強いのは自分だから、このガーデンは自分のモノだと言っています。
でも、チャオガーデンはみんなのモノ。独り占めは良くありません。
「それはちがうチャオ。チャオガーデンはみんなで仲良く使うチャオ~」
チャッコーはあくまでマイペース。笑顔を浮かべ、諭すような感じで言いました。
リュウ君は、それがムッときました。
「うるさい!こんなモノ!」
そういうと、大きく息を吸い込み、空に向かって吐き出します。
ボウッ!
と、リュウ君の口から吐き出されたのは、赤々と燃える、灼熱の炎です。
ドラゴンをキャプチャーしたリュウ君は、炎を自由に吹くことが出来ます。
「こんなモノ、俺の炎で燃やしてやる!」
「えーっ!ダメチャオー!」
一生懸命育ててきた木。燃やされるわけには絶対、絶対いきません。
チャッコーはリュウ君に突進します。しかし、
「うるさい、あっち行けっ!」
リュウ君はチャッコーに向かって火を吐いてきました。
「わっ」
あわてて急ブレーキ、後ろに下がるチャッコー。思わず尻餅をつきます。
それをみて、子分たちがへらへら笑っています。
リュウ君は再び、炎を吹く準備をします。
このままでは木を燃やされてしまいます。なんとかしなくちゃ。でも、
「(こ、怖いチャオ…)」
もし、あんな炎にあたったら、きっと火傷してしまいます。もしかしたら、死んでしまうかも…!
チャッコーは、心の中で助けを呼びます、誰か…誰か…。
「(ナックルズ、助けてチャオ~!)」
でも、ナックルズはいません。いえ、他には誰もいません。
この木を守れるのは――この木を守るのは――チャッコーしかいません。
約束したのです、ナックルズと。
『コイツ』を絶対守るって!