第2回~君と一緒に歩く道~
~登場・でも、ちょっと方向音痴?~
プシュ
空気が抜けるような音といっしょに
蒸し暑い,むっとするような空気が流れ込んできて,クーラーのおかげで快適だった空気が駆逐され、
いい加減窓の外に見飽きて、うとうとしていた僕はちょっと眉をしかめた。
「暑い……」
呟いて,列車から降りて,一つ伸びをして目をつむる。
僕の住んでいる街も暑い方だけど,ココはまた別、
街の海の側独特の暑さとはぜんぜん違う、
伸びの時に吸いこんだ匂い、
嫌になるくらいのぬるい湿り気にまじった
むせ返るような森の匂い
それに混じる,ほんのわずかな潮の香り
そう、ここが・・・・・・
「ミスティックルーインか」
目をあけて,一歩踏み出した僕を待っていたのは、
ずっと続く森の景色、
思いがけないそれにも気付き、また呟いた・……
「高いな……」
なんでこんな高いところに駅なんて作ったのか、
しかもぼろぼろの木造、
「ま、気にしてもしかたないか」
気を取りなおして同じくぼろぼろの階段を降りていく、
ミスティックルーインを俯瞰する景色の中、
それは目に付いた、
「あれが噂のクレーターか」
5年前、一晩で生えた山の跡、
前に学校の先輩に聞いた噂、
そう言う話が好きな人にはかなり有名らしいけど、
こうして見る限り、別に変なところはないと思う。
「なんであんなのが? 」
首を傾げてみても、それで理由がわかるわけでない
まぁ、世の中、人知が及ばない考え方をする人は少なくないという事だろう。
一人納得して気がついた
「ここ・・・・・・どこだろう?」
気がつけば、そんな離れていないところに滝があり、
すぐ足元は低い崖になっていた、
ちょっと考え事はしていたけど、それもほんの五分くらい、
でも・・・・・・
左右を見れば、切り立った山……いや上にまた緑が広がっているところを見ると
崖なんだろう、
そして、左右それぞれにぽっかりと洞窟が口を開いている。
そして、後ろを振り返ると。
少し離れたところに、駅と、その右手にさっきのクレーター、
左には小高い丘が………
「はははは・・・・・・・・・」
口からこぼれるかわいた笑み……
何を隠そう、僕はどうやら、人よりほんの少しだけ方向音痴のけがあるらしい。
「だから、こんな事は珍しくないんだ、誰だってそうさ」
気まずくて、誰もいないのに言い訳してみる、
「さ、折角ミスティックルーインまで来たんだし、早く行こう」
気まずくて、誰もいないのに大声で独り言を言ってみる……
何をしているんだろう、僕。
「レオンハート、下りて右のほうにここのガーデンがあるって言っていたなぁ」
丘のすぐ側の洞窟にある、そう聞いていた僕は、
迷わず右、さっきのクレーターのほうへ歩いて言った。
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因みに、この後僕はしばらく気付かなかった、
自分が、ガーデンと正反対に歩いてる事に……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~つづく~~~~~~