最終話(2) チャオカラテ

「…来たぞ!!」
ノアルが言ってすぐ、エレベーターのドアが開く。乗っていたのは勿論アウル。アウルはゆっくりと歩き、ノアル達がいる大きな部屋へ向かう。大きな部屋の四隅にはドアがあり、そこからためていたゴミを捨てる仕組みになっているようだ。今、そのドアは開いている。

「…。なるほど。こういうことでしたか」
アウルはそう呟くと右腕の龍をノアルに向ける。その時、ノアルが「ちょっと待て」と言った。アウルは龍を降ろす。ノアルは笛を取り出した。笛には先端が付いており、どうやら攻撃をしようとしているわけではないようだ。

「これと同じ種類の笛…。お前も持っているはずだ」
「…?何が言いたいのです?」
「お前が本当のアウルならば戦う理由がない。確認したいだけだ。本物のアウルならば黄色い笛を持っているはずだ」
「…まぁ、こっちも無駄に体力を使う気はありませんしね。いいでしょう」
アウルは笛を探す。やがて、ノアルが指定した通りの黄色い笛を取り出した。おまけに、何かの楽譜も出てきた。それらは牢屋に落ちていた物なので、アウルが死んだのと同時に消えたわけではないようだ。ノアルはアウルが死んだ時に消えたのではないとわかり、安心した。アウルと言えども元々の体はラ・ダ・クオスなので、無い可能性が高かったのだ。

「その楽譜の内容を、これから俺と一緒に吹いてみろ。…いくぞ」
そう言い、ノアルが笛を吹き始める。それと同時にアウルも笛を吹いた。それを聞いたノアルはすぐに笛を吹くのをやめた。

「やはり…偽物だったみたいだな。0(れい)よ」
「…!?何を言っているのかな…?」
「お前は笛を吹けるはずがないのだ。1階にいたライトカオス。あいつがいない限りな」
「ど、どういうことだ…!この私は本物の…!!」
笛を吹いただけで偽物と呼ばれたダークハシリチャオは動揺している。ノアルはそのまま説明を始める。

「俺達の育て親が作った曲。それはな、俺、ライトカオス…つまりコウル、そしてアウルの順に吹いて初めて一つの曲となる。それがわからなかった貴様は…0以外あり得ない」
「うぐぐぐ…!!」
反論ができない0を見ながらノアルは笛の先端をはずし、しまう。そして、四種類のカオスドライブをそれぞれ3個ずつ順にキャプチャーしておいたのを思い出しながら赤半透明の大きな刃を笛から出す。

「うあぁ!」
「今だ、ディ!!」
「うらぁぁぁ!!」
ノアルが笛を振る。0はそれになんとか反応して龍を盾にしたが、直前まで動揺していて戦闘のことなど頭になかったので簡単にはじかれた。そのままディの光となった右腕に殴られ、四隅の一つに放り入れられた。そのまま0は落ちていく。

「このまま…私の野望は…」
0は落ちていきながら呟く。下の方は激しい炎。0はそれをボーッと見ていた。その時、何かを見つけた。それはドア。位置的にはさきほどの部屋の下となる。0は飛び、そのドアの近づく。ドアは自動的に開いた。0はその部屋に入っていく。

「…こいつは…」
部屋の中心には何かが置いてあった。その何かは人間の腕に付ける装備品のような物で、エネルギー弾砲やバルカン砲などが付けられている。そして、「B3」という白い文字が緑色のこの武器に書かれている。

「装備型兵器、『HOT SHOT』…」
その名前の通り、その兵器はホットショットの装備を一まとめにして装備品として改造した物。0は呟きながらその兵器を左腕に装備した。

「フハハハハ!!手に入れたぞ!!最強の力をぉぉ!!」
その部屋は、ガコンと音を立てて上へと動き出す。狂喜している0を乗せて。向かう先は、勿論ノアル達のいる部屋だった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第169号
ページ番号
35 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日