最終話 チャオカラテ
――グループ1・地下牢前――
「うぅ。機械が相手なんて嫌だよぅ」
「うむ、面倒だ。俺の鎌でも突き刺すのにかなりの勢いが必要だ」
「そう言うな。アウルの相手するより楽だろ」
「はぁ。俺はあの伝説のアウルと戦ってみたかったなぁ」
ディアン、クロウ、フェルス、ブレイブが壁に隠れながらこそこそと話している。どうやらフェルス以外はあまりこの仕事を気に入っていないようだ。
「まぁ、とっとと全滅させてやろうではないか」
クロウが鎌を構えてロボットに向かって突進していく。それに続いて残りの三人もロボットを倒し始めた。
――グループ2、3・廊下――
「ここの廊下でグループ2はアウルと戦い、そこのエレベーターに入れる」
「下に行かせるならさっきの広い部屋の方でもいいんじゃないのか?」
「あっちの部屋のエレベーターは地下牢の方へ行ってしまうから駄目だ」
地下に行く手段は二つあり、一つはさきほどの部屋のエレベーター、そしてもう一つがこの廊下の一番奥にあるエレベーターなのである。今回は、廊下の方を使うようである。
「俺達は先に下へ行く。後は頼んだぞ」
とノアルは言い、エレベーターに乗る。ノアルと共にエレベーターに乗ったのはディ、ウェルク、エイチ、アイである。
「誰か来ますね…」
しばらくして廊下の方のエレベーターが動き、やがて一階、つまりコウル、アス、ソウ、ラック、スラッシュがいる階に止まった。中から出てきたのはダークハシリチャオ。それを見てコウルは「アウル…」と呟いた。どうやらアウルのようだ。アウルの後ろにはチャオの頭くらいの大きさがある光の球が浮いていた。
「5階は終了。今度はこの階……」
「待ちなさい。そこのチャオ」
「…!待ち伏せ…?」
「残念ですが、貴方はこれから地下に降りていただきます」
「僕が何者かわかっているのか?僕は伝説のチャオ、アウルだ。君達にそんなことはできないのさ!!」
アウルはそう言うと、後ろにある光に右手を向ける。すると、右手と光は共鳴しているかのように激しく光り出した。やがて光は消え、アウルの右手が巨大な龍の顔になっていることがわかった。
「まぁ、力押しで勝てるとは思えませんね。アス君!」
「くっらえぇーい!」
アスが一番前に出てくる。そして彼の能力によって、両手からもの凄い強風が吹き出す。アウルはその風にびくともせず、全く動かない。
「風の影響で、少しは押しやすくなっているはずです!行きますよ!」
「最強の炎を味わうがいい!」
コウル、ソウ、ラック、スラッシュはアウルに向かって突進していく。風の力もあり、とても速い。だが、アウルは右腕を四人に向けただけだった。そして、四人が龍となった右腕の目の前に来た瞬間にアウルの右腕は火を吹いた。火はかなりの広範囲攻撃で、龍の口が開いた瞬間に避けたコウルとスラッシュはなんとか避けられたが、回避が送れたソウとラックはその火力に負けて倒れてしまった。風の影響か、アスの所までは火は届かなかった。
「攻撃をするなら…この龍をも砕くほどの攻撃をするんだな!」
攻撃を避けたコウルとスラッシュはアウルに向かって攻撃をしようとするが、龍が盾となり攻撃できない。龍はとても硬く、いくら殴っても傷一つつかない。そして、アウルはその右腕の龍を横に振り回してコウルとスラッシュを壁に叩きつけた。残ったのはアスのみ。
「どうする?このままではイタチごっこだが…」
「うぐぅ…」
「…待てよ。地下…?地下というとゴミ捨て場…か。ふ…。面白い」
「あ…、地下に行っちゃった…」
アウルはエレベーターに乗り、地下に行った。アスはしばらくボーっとしていた。コウルとスラッシュがよろめきながら立ち上がる。
「自ら行きましたね…」
「ちっくしょう…」
「…?スラッシュ君。そのドラゴンは?」
コウルがスラッシュの横にいた小動物のドラゴンについて尋ねる。スラッシュは元々ドラゴンなんてレアな小動物は持っていない。おそらく、アウルが落としたのだろう。
「え?あ、これ…。きっと、さっきあいつが右腕振り回してた時に落としたんだなぁ」
「…確か、君の能力って同じ系統の小動物を全種類キャプチャーすると特殊な効果が発動するんでしたよね」
「お、おう」
「こいつらと一緒にキャプチャーすれば…」
そう言ってコウルが差し出したのはドラゴンと同じレア小動物のフェニックスとユニコーンだった。ユニコーンは広い部屋での戦闘でワールドから奪い取った物らしい。スラッシュはそれらを受け取ると、キャプチャーし始めた。