14話(2) 兵器
「今回で、俺は本当に最強になれるのか…?」
「当然ですよ。ただし、今回これを行うことによって貴方にどんな影響がでるかわかりません。それでもやりますか…?」
「当然だ。俺は最強の一族・クオスのチャオ。最強の存在でいなければ…」
「わかりました。では、いきますよ」
0がラ・ダ・クオスに触れた。その瞬間、ラ・ダ・クオスはどさっと音を立てて倒れた。どうやら気絶したようだ。しばらく0が待っていると、ラ・ダ・クオスは目を覚ました。
「…。ここは…」
「こんにちは。私は0と言う者です。今回、どうしても兵器を破壊していただきたく、勝手ながらもあなたをこの世に戻してしまいました。『アウル』さん」
「…そう。そういうことなら許してあげよう。って、僕が言えることじゃないけどね。やっと長年の夢がかなえられる」
「それはよかっ……」
「!?」
0が「それはよかった」と言うのを止めたのはロボットの放ったレーザー光線だった。0の目は丸く、大きく見開いていた。そして、その場に倒れ込み、徐々に灰色のマユに包まれていく。
「…死者をよみがえ…らせた、バチ、でしょ、う…か。せめて…最、後に、アクシュヲ…して、くれま…せんか…?」
0は弱々しい声で言う。アウルは言われた通りに握手をする。0は両手でアウルの手を握った。その顔は何故か不気味な笑みを浮かべていた。やがて、マユが消え、アウルは立ち上がった。
「ふふ。自分の魂でも他人に送れるとはね。私の望みを叶えるために利用させていただきますよ。ラ・ダ・クオス。そしてアウル」
「さて、全員集まったか?」
「はい!全員集まりました!」
鎧に身を包んだ人間の集団が城の前に集まってきている。集団の武器は主に大剣や槍。そしてリーダーと思えるような人物は武器を持っていないようだ。
「しかし、久し振りだな、みんな。昔の話をのんびりしたいところだが、そういうわけにもいかないんでね。目的は二つ。まずはこの城の占領。そしてそれが終わったら兵器の破壊だ。馬鹿なあの王に支配されたままじゃたまらん。俺達ならば楽勝だろうが、気を抜くなよ?」
「ハッ!!」
「では、行くぞ」
集団は城に入っていった。と、入っていった所にはチャオの集団、つまりノアルやコウル達がいた。その存在にリーダーと思われる人物は驚いた。というのも、彼の知っているチャオがいたからだった。
「…!ディマガ!?」
「あぁぁ!ディマガさん!!」
「…。久し振りだな。ノアル、コウル、そしてディ」
「え?なんでディマガさんが二人の事を…」
「そういうことだったのか…」
リーダーと思われる人物…ディマガの言葉にディは驚き、ノアルは全てがわかったかのように呟いた。
「俺とコウルとアウル。アウルは死に、コウルは別の所に行かせ、残りの俺はお前と一緒に城で手下となった。しばらくしてお前の率いる軍隊が全員一気に城から消えた。…その後お前はディという優秀な存在を育てていたのか。今回のために」
「0…。やつがいる限りアウルが復活するのはわかりきったことだった。だからそうするしかなかった…。すまないな。ろくに世話してやれなくて」
「……」
「さて、俺達は城を占領する。お前らは、お前らのやろうとしていることをやってくれ」
そう言って、ディマガはエレベーターのスイッチを押し、エレベーターに乗ろうとする。その時、ノアルがディマガを呼び止めた。
「俺達はアウルを倒す。だが、復活するアウルは俺の知っているアウルなのか、それとも0によって操られているのか。それがわからないとどうしようもない…。どうすればいいんだ?」
「…笛だ」
「笛…?」
「うむ。ノアル、お前はいいとして…コウル。お前はノアルと違って武器にしていないから転生の影響で忘れてしまったかもしれないが、お前も笛と楽譜を持っている」
それを聞いたコウルは笛を探し始めた。しばらくして、真っ青な笛と楽譜を取り出した。
「……。これ、ですね…」
「うむ。ではノアル、吹いてみろ。そしてコウル。ノアルが吹き終わった瞬間にその曲を吹いてみろ」
ノアルとコウルは言われた通りにする。ノアルの曲は中途半端なところで終わるのだが、コウルが吹いた曲を聴いて二人は驚いた。二人の曲はまるで一つの曲だったかのように上手く繋がったのだ。
「繋がった…よな。今」
「えぇ…」
「うむ。そして、コウルの吹いた曲もまた中途半端な所で終わった。となると…?」
そう言うとディマガはエレベーターに乗った。しばらくしてノアルが全員に向かっていった。
「準備は整った。全員、指定された行動を開始しろ!!」