14話 兵器
「まずは相手の能力の詳細を調べあげよう。特に、あの金色のやつはよくわからん」
「アメジストのチャオは光をキャプチャー1回につきレーザー1発です。気を付けて下さい」
「アクアマリンのやつは見た目通りでいいんじゃないのか?それと、黒いのも」
「と、なるとあの金色…。変な能力だったら危険なので、とっとと倒せると良いのですけど…」
コウルとノアルは時々敵から飛び退いて集合し、数秒の会議をしている。黒いチャオ、つまりエスは赤半透明の長い棒を能力によって出現させて武器にしている。そしてアクアマリンのチャオ、ブロウは右腕が巨大なナイフとなっている。
「む…もう効果が切れてしまったのか」
ワールドはそう呟いている時、その前までのスピードより明らかに遅くなっていた。そして、ユニコーンを再びキャプチャーすると元のスピードに戻った。それを見たノアルとコウルはもう一度飛び退いた。
「やつの能力…わかったも同然だな」
「はい。効果が切れた…。つまり制限時間付ですね。で、効果は能力が上がる」
「ユニコーンをわざわざ無限キャプチャーしているのは、種類によって効果が違う…。まぁ、それほど危険な能力じゃあないとわかったな」
「えぇ。私がなるべくあいつの近くにいるようにして、効果が切れる時に一気に倒します」
「あぁ。よろしく頼む」
たった今決めた作戦の通り、コウルはワールドの近くになるべくいるようにしながらギャラクシーの相手をする。ノアルは残りの二人と戦っているようだ。
「そろそろ本気でいかせてもらおうか。一気にけりをつけてやる」
ノアルは赤、緑、黄、紫の全四種のカオスドライブをそれぞれ1個ずつキャプチャーした。ノアルは右手で笛を持つ。笛の先端からは手裏剣のような形をした紫の半透明の刃が浮かんでいる。ノアルは笛をエスに向けて振る。すると刃がエスに向かって飛んでいく。刃を飛ばした瞬間、ノアルは刃を黄色の半透明に変える。形は辞書のように分厚く、壁のようだった。四角い形のために攻撃はできないため、防御に使うようだ。それでギャラクシーの放ったビームを防ぎながら接近した。そして、ギャラクシーが左手で振る刀をガードした瞬間に刃を赤半透明の大きい刃に変えて刀を切った。そして次に刃を緑半透明の細長い三角錐の形にしてギャラクシーの右腕に突き刺した。ギャラクシーは悲鳴をあげながら倒れた。ノアルは素早くエスの方を向く。紫の刃で一時的に接近させないようにしていたものの、すぐ側まで迫ってきていた。
「エス…とかいう名前だったな。貴様は」
「あぁそうだ。あの有名なアウルの子孫さ」
「貴様の野望を聞くと、俺の知っているアウルの子孫とは思えないのだがな」
エスは出現させた棒を上手く使い、真ん中で持って両剣のように多段攻撃をしかけたり、端を持って槍を扱うかのように素早い突きをしてくる。だが、ノアルは全て避ける事なく防いでいる。そして、ノアルは棒を振り回しながら自分も回転して攻撃してくるエスの攻撃を避けて、笛を振った。刃がエスの背中に多少深い傷を作り、エスはその痛みで気絶した。
「もうすぐ効果が…なにぃ!?」
「あなたの弱点、見切りました」
「ぐぅぅ!弱くなる瞬間に来るとは卑怯だなぁ!!」
コウルはワールドにキャプチャーをさせないようにと威力を抑えて速い攻撃をし続ける。それによってワールドは全く何もできないのだが、ブロウがコウルの後ろで刃物になった右腕を振り上げていた。
「複数の敵がいることを忘れてはならないのだ。これを今知った時点で既に遅いが」
「あ、言っておきますけどそれ、私のカウンター能力でボロボロになってると思いますよ」
「な…!!」
ブロウの攻撃を避けるコウル。ブロウが右腕を地面に叩きつけた瞬間、刃物の右腕がバラバラに砕けた。実は戦闘中コウルはキャプチャーできる種類の攻撃をキャプチャーしては右腕に向けて吸収した分のダメージを与えていたのであった。コウルは殴られ続けた末に気絶したワールドを投げ捨て、ブロウの腹部を思い切り殴った。ブロウはそのまま気絶した。
「なんだ。最強っつう割には大したことなかったじゃないか」
「えぇ。今まで弱い者いじめしかしてなかったのかもしれませんね」
「あれ?終わっちゃったんだ」
「流石リーダーとその友人の方だな」
ノアルとコウルが戦いを終えるとほぼ同時に機械の殲滅を終えたディ達が帰ってきた。これで大体の準備は整った、とノアルは感じた。
「さて、これからが本番になるのだが、3つのグループに分かれてもらう。グループ1は地下牢にいるロボットの殲滅、グループ2はアウルを下のゴミ捨て場に誘導する、グループ3はゴミ捨て場でアウルを倒す。メンバーは……」