13話 殲滅


「もうそろそろ来る時間?」
「そうだろうな。準備をしておくとよい」
城のすぐ近くにディ、エイチ、アイの三名は立っていた。数が多いロボットと戦うには数が少ないが、それ以外の者はロボットを倒せる要素を持っていなかったようだ。エイチは何もないところからカオスドライブを取り出し、刃がない剣の柄に入れた。いつでも刃を作り出せるようにしたようだ。

「…ちょっと待って。今の、能力?」
「あぁ、そうだが」
「じゃあなんでキャプチャーじゃなかったの?取り出すだけに見えたのに…」
「自分の体内にあるカオスドライブを取り出してキャプチャーする能力の途中でキャプチャーをキャンセルしただけだ。それくらい分かれ、アウルの子孫ならば」
と、エイチはため息混じりに言った。だが、その言葉にアイは目を丸くした。当然だろう。自分が伝説のチャオ「アウル」の子孫だと当然のように言われたのだから。

「…え?私があのアウルの子孫…?」
「当然だ。アウルの一族には決まりがある。その一つに名前はアルファベットというものがある。飼い主は何度も変わってきたが、その決まりは守られているようだ」
「僕はD、エイチさんはH、アイさんはIって感じに」
「ここにいる全員がアウルの子孫ってわけなのね…」
「まぁ、話しはここまでにしておこう。もう、ロボットが出てくるだろうからな」
エイチの言うとおりすぐに城の屋上辺りからロボットが現れ、落下してきた。ロボとは次々にガシャン!と音と立て、三人を銃器で狙う。エイチは素早くロボットの方に駆け寄り、カオスドライブのエネルギーで作られた刃でロボットを真っ二つにした。アイもそれに続いてどんどんロボットを切り裂いていくが、ディは目を瞑っており動く気配がない。しばらくして、ディは目を開いた。見えるだけでも数十、もしかしたら百を超えているかもしれないほど多いロボット達がいた。

「これに変えてる間は羽が無くなっちゃうんだけど、仕方がないか」
ディはそう呟いて右腕を青白い巨大な光に変えた。羽も使わないと十分な威力を発揮できないのか、これを使っている間は羽が無くなるようだ。ディはロボットの銃が放つレーザーを避けながらロボットに接近してはその光で殴り、大破させていく。


「チャオを倒すために改造されただけあって、すばしっこいわね…」
アイは森の中に移動したが、アイを狙っていたロボットは全機ちゃんと付いてきていた。本来は警備ロボットのため移動しないガンハンターでさえかなりの速さで動くように改造されていた。小さいチャオを見失わないのは、チャオよりちょっと高いくらいの高さに設定されているからだろうか。アイは何も無いのに何かをキャプチャーし始めた。

「ここらへんは真っ暗だから、ランとフライがかなりすごくなるはず…」
アイの能力は何もないところでキャプチャー動作をすることによって、そこの明るさに比例して能力が増加する。明るければ明るいほどチカラとスイムが上がり、暗ければ暗いほどランとフライが上がるようだ。そして、アイは素早く木を切り倒した。切り倒され斜めに傾いた木を駆け上がり、飛ぶ。それからロボットを斬り倒しながら木から木へと飛び移っていった。


「…数が減るどころか、増えている…?それに、性能も良くなってきているような…」
エイチは敵を斬りながら呟く。実際、彼の言っていることは正解だった。敵の攻撃も激しくなり、このままではまずい。そう確信したエイチは素早くカオスドライブをキャプチャーした。すると、足が機械になった。機械になった足からは圧縮されたカオスドライブのエネルギーが噴射され、それによってエイチは空中に移動した。エイチは空中で小刻みに移動しながらロボットを切り裂いていく。そして、狙った敵に向かって移動した瞬間に目の前と背後に突然ロボットが割り込んできた。エイチは右足で目の前のロボットを蹴ると同時にエネルギーを噴射した。それによってそのロボットは壊れ、さらにエイチはその反動で地面の方に頭を向けた状態になり、その状態のままもう一機を同じようにして壊した。


やがて、増援もなくなり数が減ってきた。ついにロボットはいなくなったその瞬間、一機だけが再び落ちてきた。姿はガンハンターのように思えるが、装備は全く違っていた。銃は片方の腕だけだったのが両腕についており、さらに高機動ボバー戦闘機のホークシリーズの部品が背中に付けられているために空中を移動できるようだ。そのロボットは両腕の銃から数え切れないほどの弾を撃つ。どうやらマシンガンのようだ。

「どうするんだ、こんなやつ…」
「相手の攻撃を引きつけられないかな?そうすれば僕が破壊するけど…」
「ふむ…。俺は問題無いが…、アイ。お前はできるか?」
「一応…ね」
「よし、ならばやってみようか」
そう言うと、二人はマシンガンを引きつけ始めた。狙われていないディは素早く接近し、殴ろうとした。だが、その瞬間ロボットは飛び上がった。羽の無い今のディでは攻撃することはできない。その時、エイチは剣をロボットに向けて投げつけた。離れていたために壊すことはできなかったが、背中のパーツと機体を切り離した。それによってロボットは落下し、落下地点にディは移動してそのまま拳を突き上げロボットの体を貫いた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第166号
ページ番号
30 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日