12話(3) 準備完了
「では、解散だ」
「デルデムス君、行きましょう」
「うむ」
「……行ったな」
城の中にあるチャオキラー基地。ここではさきほどまで集会が行われていた。そして、再びデルデムスと0抜きで集会が行われようとしていた。
「さて、最初にやつらの計画について話しておこうか。今までの間、チャオキラーやロボット、さらには殺せばポイントが高いなどということを利用して数をどんどん減らしてきた。そして、明日の夜…すなわち最終日に前の時より強力になったロボットを城周辺に出撃させる。その後、生き残ったチャオは時間切れの時に発動する電撃で気絶して牢屋に入れられ、深夜に城内に最強のロボットを出撃させてチャオを全滅させるというわけだ」
「なるほど。で、どうやってチャオ全滅を防ぐ気だ?」
クロウの質問に対して答える前に、「いいタイミングでの質問だな。それを今から説明しようと思っていたところだ」とノアルは言い、そして話を再開する。
「まず、最初のロボット出撃についてだが…俺の親友が率いる組織が殲滅してくれるので問題はないだろう。一応エイチも向かわせたしな。…で、城内についてだがその組織も時間切れ前に城にて腕輪をはずし、そいつらと共に何組かに分かれて殲滅する」
「ロボットを壊すのに手こずんなきゃ問題ないってわけでしょ?」
「そうでもないぞ、ディアン。なぜなら、おそらくあるチャオが邪魔に入るだろうからな」
「……デルデムス、0ってわけね、でも、あいつら倒すのはそれほど難しいわけじゃないと思うがなぁ」
フェルスはそう呟く。それに対してブレイブがお前はあいつより弱いじゃねぇーか。と言う。そしてさらにクロウがお前も弱いだろうが。と言った。
「残念ながらちょいと違う。…アウル。この名前を知らないやつはいないと思うが…」
「…!!城に一人で乗り込み、結果は死亡したが多数の怪我人を出したというあの伝説のチャオ!」
座っていたブレイブがポヨを「!」にしながら立ち上がった。他のチャオもポヨが「!」になっている。
「流石、伝説関係は大好きなだけあるなブレイブ。まぁ、あいつは邪魔どころか、今回の騒動の原因なのだが」
「………」
「俺とアウルと親友…名はコウル。俺達三人と俺達の飼い主はチャオの小ささと能力を活かして様々な事をやってきた。やばいことにも首をつっこんでいた。そして、アウルは城のどこかに兵器が眠っているという情報を手に入れたんだ。それを破壊するために俺達は城の近くに掘って作った基地で寝て、次の日に潜入しようとしていたのだが、俺達が起きた時にはアウルの姿は無かった。その後俺と飼い主は城に雇ってもらい、コウルはあえて城から離れた所に住んでもらうことにした。…そして、現在こういう状況になったのだ」
ノアルは目をつぶりながら話す。そして、小さく話し過ぎてしまったな…と呟く。ノアルはとりあえずまだ言っていないことを言うことにした。
「んで、原因がアウルと言うのは、王がチャオならば兵器も破壊、もしくはキャプチャーしてしまうのでは…?そう恐れたからだ」
「なるほど…。ところで、何故死んだはずのアウルが邪魔をするんだ?」
「0だ。やつの能力でアウルの霊を悪用しようとしている可能性がある。あいつの能力はよくわからないのだが、とりあえずアウルの能力を教えておこう。アウルの能力はドラゴンを複数キャプチャーした時のみ発動する。右手が巨大なドラゴンの頭になる。外見は小動物の可愛さは残っておらず、伝説上に出てくる怖い感じのドラゴンだ。硬いし火を吹く」
外見の説明がほとんどで性能はほとんど語られなかったが、多数の人間相手に戦えたチャオなのだから、相当の威力があるのだろうと全員予想した。その後アウルは解散させ、一人で真っ赤な笛を見つめて呟いた。
「まだ一度も転生していなかった頃の記憶…。全くはっきりしないのはこの笛だけ…か」