11話(2) 絶滅という予想
>ウェルクは近くの町で休憩をすることにした。その町にあった廃墟になったビルに彼は身を隠した。しばらくして、物音が聞こえた。外からではなく、彼のいる廃墟からだった。
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彼は赤いカオスドライブをキャプチャーし、いつ襲われても対応できるようにしながら周囲を見渡す。
「その障害物の高さじゃあ、ポヨまで隠せないみたいだな。ヒーローチャオさんよぉ」
「……!!」
「これで、お互い警戒する必要もなくなったわけだな。とっとと降参してもらいたいのだがな」
「誰がするものですか!!」
と言って、元々天井だったコンクリートから出てきたヒーローオヨギチャオは小剣を両手で持つ。そして、何もないところで何かをキャプチャーする。キャプチャーが終わるとウェルクを睨んだ。
「でぇぇぇぇい!!」
「……」
ヒーローオヨギチャオは素早い連続攻撃によってウェルクを倒そうとするが、ウェルクは黙って避けているだけだ。攻撃するチャンスができ、ヒーローオヨギチャオが回避の行動に移ろうとした時でさえ攻撃する様子もない。しばらくしてヒーローオヨギチャオは攻撃を止め、そしてウェルクから離れると再び口を開いた。
「なぜ…何もしない…?」
「真実を知りさえすれば、人間に踊らされるわけないのだがな」
「し、真実…?」
「覚えているだろうか。何故俺達がこうやって戦っているかを」
ウェルクがそう言うと、ヒーローオヨギチャオは黙り込む。そこでウェルクが再び口を開く。
「1万ポイントをため、チャオ部隊に入る。規則を破れば飼い主含め死刑、期限までに果たせなかった時も…だ。そして、今やロボットやチャオキラーなる集団まであの王は出してきてやがる。…ここから考えられることはただ一つだな。人間共は俺達チャオを絶滅させようとしているのさ」
「チャ…チャオを全滅ですって!?…でも、チャオキラーや1万ポイントをためたやつは死なないじゃないの!」
「…問題はそこなんだな、これが」
ウェルクはまだその問題に関しては納得のいく予想ができていない。もう一方のヒーローオヨギチャオはそんな出会ったばかりのチャオに信用できないような事を言われ、そのまま戦いをやめるわけにはいかないのであった。なぜなら、多く戦い、勝って、1万ポイント溜めなければ、自分の飼い主まで殺されてしまうからだ。…それでも、もしもやつの言っていることが本当だったら?そんなことも頭の中にあった。しばらくして、突然ウェルクはニヤリとした。
「いや、考えればわかることか」
「な、なにが!」
「チャオキラーや1万ポイントを集めて生き延びたチャオ達は確かに殺されないさ。……チャオにはな」
「…?」
「いるじゃないか。ロボットという存在が!」
「あ…」
「おそらく、チャオが寝た時にでもひっそりとやるんだろうな」
「…」
「随分と話しちまったが、まぁ、とにかく。無駄な戦闘はするなよ」
そう言うとウェルクは帰ろうとする。そこをヒーローオヨギチャオは大声で待って。といって止めた。ウェルクはその場に立ち止まった。
「じゃあ、あなたはなにかしているっていうの?意味のあることを」
「あぁ。絶滅を阻止しようとしている。あるチームでな。…お前も入るか?」
ヒーローオヨギチャオは頷き、ウェルクについていく。途中でヒーローオヨギチャオは自分の名前を言うのを忘れていた事に気付き、自分の名前はアイだ。と言った。