10話(4) 同盟

「ちょっとは強くなったんだろうな。あの時のままだったら、今度こそ…だ」
「うわぁ…相変わらず怖いねぇ」
「ふむ、あの時と同じ鉄球…いや、違う…?」
「これぞ、ディ特製ヨーヨー風鉄球!」
ディはそう言うと、変化させた右腕をヨーヨーのように扱う。形はヨーヨーで、先端が鉄球なだけなのだからそのように扱えて当然だが。ディはそれを攻撃する時だけ投げるようにしている。クロウはその攻撃を避け、縄を鎌で切ろうとするが、すぐにディの所に戻っていってしまうのでそれができない。

「縄を切る隙がねぇ…」
「避けてばっかじゃつまらないよぉー。当たってー」
「そんな痛そうな物に誰がぶつかるかぁっ!」
クロウは回避に専念しており、いつまでやっていても無駄だと判断したディは右腕を変化させる。だが、光っているのは鉄球の部分だけだった。やがて光は消え、鉄球はUFOキャッチャーの掴む部分のようになっていた。

「つかまえたっ」
「ぐぉっ!?」
ディの右腕はクロウの走る速さより速く動き、そしてクロウを掴む。そのまま右腕を空高く上げ、そこからクロウを突き落とした。

「どうだ!?降参しろぉ!」
「隙有りっ!」
よろりと立ち上がるクロウを見ながらディは右腕を元のチャオの腕に戻す。それを確認したクロウは小刀を二本投げる。両方ともクロウの狙った所、ディの右腕に刺さった。それと同時にクロウはディに接近していく。

「フハハハハ!これで俺の勝ちだぁっ!!」
クロウはもうすぐディを鎌で刺せる所まで近づいており、いつでも鎌を振れるようにしながら走っている。ディは痛みに苦しみながらも再び右腕を光らせた。だが、その時にはクロウはディの目の前で鎌を振ろうとしていた。

「僕の見た事のある物で…お前に勝てるのは…これだぁぁっ!!」
「ぐおぉっ!?」
ディは右腕が光った状態のままクロウの腹部を殴った。クロウはその強さによって吹き飛ばされ、木にぶつかるまで止まらなかった。


「どうです?強いでしょう?彼に訊いてみたところ、色々な物に変わるこの光こそが最強な気がするとのこと」
「うむ…ところで相談なんだがな……」
ノアルとコウルはしばらく何かを話し合っている。しばらくして、二人は戦いを止めさせた。話し合いが終わったのだろう。

「俺達チャオキラーは、こいつらのチームと手を組むことにした」
「リーダーッ!?なんでこいつらとっ!?」
「うむ。まぁ、いつかは話そうと思っていたが、とある計画書を見つけた。それにはこう書いてあったんだ。チャオ殲滅プロジェクト終了直後にチャオキラーも殺すと。正直、今回の作戦で何人減るかも分からないし、どんくらい強い機械が出てくるかもわからん。そして、なによりだ。その計画の対象外にラ・ダ・クオスと0がいる。どう見ても怪しいだろう?」
「む…確かに」
「そこで、チャオ殲滅プロジェクト終了直後に俺達でその計画を阻止する。そのためには強い奴が必要だ。わかったか?」
「OK~OK~」
「…御意」
「それじゃあ、俺達は今から仲間を捜すからな。お前らもやられるなよ。特に…ディ」
ノアルはそう言うと、走って去る。それを追いかけるようにして二人も走っていく。そして、コウル、ディ、スラッシュの三人は城に向かって再び走り出した……

このページについて
掲載号
週刊チャオ第154号
ページ番号
24 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日