10話(3) 同盟
10話(2)ラストシーン
「うおわぁっ!?」
「もらったぁっ!」
スラッシュはディアンの足を掴み、彼の能力の関係上、イノシシをキャプチャーした今の状態では止まれないので、飛び上がる。そして、そのまま着地と同時にディアンを地面に叩きつけようとする。だが、ディアンもウサギを取り出してキャプチャーする。すると、ディアンの左腕からウサギが出てきた。ディアンはそれを盾にしてスラッシュの攻撃を無効にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「危なかったぁ…」
「盾…か」
「もう一つ追加~」
ディアンはまた小動物を取り出してキャプチャーする。その小動物も盾として出てきた。このまま増やされ続けたら勝ち目がなくなると判断したスラッシュはディアンに殴りかかる。だが、ディアンはそれをバク宙で避けた。スラッシュは相手が何も出来ないように連続で殴りかかる。だが、ディアンは盾を使うこともなく避けている。
「今だっ!」
「おわっ!?」
スラッシュは素早くキックでディアンの腹部を狙う。ディアンはここでようやく盾を使った。盾は壊れ、残りは一つとなる。
「ゴリラ、トラ、クマ、ライオン、ゾウ…」
「むぅ~?」
スラッシュは素早くその五種類の小動物をキャプチャーする。そして、最後に赤いカオスドライブをキャプチャーした。すると、スラッシュの両手両足がジュエルチャオのように輝きだした。
「俺の能力はこのように、一定の組み合わせの小動物やカオスドライブをキャプチャーすることにより、能力を一時的に急増させることもできる」
「へぇ~…小動物の能力を完全に引き出すってわけね。耐えられるかなぁ」
ディアンも小動物を何匹かキャプチャーする。再び二人は攻撃と回避を不規則に変えながら戦うのであった……
「手加減はしないぞ?」
「それは、アウルの飼い主さんからもらった笛…」
「俺の能力は筒状の物をカオスドライブの力で武器にすること。俺にとってはこれが一番使いやすいのでな」
「なるほど。ではこちらも能力を使っていきますので」
ノアルは笛の先端部を取り、そして赤いカオスドライブをキャプチャーする。すると、笛の先端から、赤い色をした大きな刃が出てきた。それがノアルの能力である。そして、コウルは何も持たずにいる。そして、ノアルはコウルに向かって突進していく。ノアルが振り回す笛の動きをよく見ながらコウルは素早く避ける。しばらく避け続けていると、高めに振られた剣を避けるために姿勢を低くしたコウルの顔面をノアルは蹴ろうとする。コウルはそれを両手で防ぐ。防いだ瞬間、コウルの両手が光った。
「もらった!」
コウルはその直後に素早くノアルの顔面を蹴った。ノアルはその攻撃で倒れる。だが、彼はすぐに立ち上がって構える。
「ちっ、お前の能力があると、剣をひたすら振るしかないか」
「蹴ったりすると、私の能力によって威力が吸収される上に、その威力を足した分の攻撃が来るので、注意してくださいね?」
「わかってるが…ついやっちまうんだよなぁ」
ノアルは左手で頭をかく。どうやら、そういう癖があるらしい。
「ところで、あのニュートラルノーマルチャオの名前はディです」
「ふむ。ディ…か。アウルの子孫か?」
「えぇ、そうです。よくできました」
「まぁ、アルファベットから名前をとってるからな。そういう決まりみたいなのがあるみたいだ」
「彼の能力は、右手を頭でイメージした物に変化させるという、かなり集中力の必要な能力です」
「ふむ。イメージするのと、変化させる。という両方の点で必要なわけか…」
「ですが、集中力のすごさによってはどんな能力よりも強くなるわけで…」
「ふむ…面白い。ならば見学とするかな」
そう言うと、二人は座り込み、ディとクロウの戦っている様子を見始めた。そうすることで、戦うことを回避しようとしたのかもしれない。