10話(2) 同盟
10話(1)ラストシーン
「ふぅ。この能力、一発逆転が可能なかわりに成功するかどうかは運次第だから困る…。と、なんとか勝ったみたいだから、また襲われないうちに行くか」
「そろそろ、城の方へ向かった方がよさそうですね」
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二人は、城の方へと歩いていった……。
「さて、準備はできましたか?」
「OK~」
「俺も大丈夫だが、質問がある」
「はい、なんですか?」
「なんでディはヨーヨー買ったりとしてるんだ?」
「まぁ、そのうちわかるでしょう」
コウルはそう言うと、一番先に洞窟から出る。続いてディ、スラッシュ、と出て行く。
「さて、私たちはこのまま待ち合わせ場所へと直行するわけですが、時間的に走って行かないと間に合わなそうです。それでは、頑張りましょう」
洞窟から出た直後、コウルがそう言う。ディもスラッシュも面倒そうな顔をするが、仕方がなく走り出す。走る事数時間、突然コウルは立ち止まった。
「…ノアル、ですね?」
「あぁ、そうだ。コウル」
「のあぁぁぁっ!!お前はぁぁぁっ!!」
「貴様っ!!あのビルの時のっ…!!」
「ほえ?みんなどしたん?感動の再会ってやつ?」
チャオキラーリーダーのノアルとコウルは知り合いのようだ。そして、クロウとディとスラッシュは大声で思わぬ再会に驚いた。ディアンだけは全員知らないのでいつもと変わっていない。
「リーダー…知り合いか」
「…。めちゃくちゃ驚いていた君にそのまま返したいところだが…そうだ。俺が生まれた時からの仲だ」
「本当はもう一人いるはずなんですけど…ね」
「だが、アイツ…アウルはとっくに死んでる。残念だが」
「アウル…!?城に潜入して殺されたが、死んだ後も究極のチャオと呼ばれていたあのチャオですかっ!?」
アウルという名前を聞き、いち早く反応したのはクロウだった。スラッシュも、知っているのか、驚いたような顔をしていた。
「その通りだ。と、雑談はここまでだ。俺はこういう立場上、お前らと戦わなくてはならない」
「OK。それじゃあ、ディ君とスラッシュ君は、あのダークカオス、ノアル以外と戦ってください」
「わかった。それじゃあ、ディ。お前はクロウと戦ってくれ」
「イエッサー!」
こうして、ノアルとコウルにとっては最もしたくなかったであろう戦いが始まった。
「フハハハハハー。僕に攻撃でっきるかな~?」
「ふん。そっちこそ、回避と防御にしか自信がないんじゃないのか?」
「なにをぅ!ならこっちからいくぞぉぉぉ!!」
ディアンは爪をつけて、空中からスラッシュに向かって突進してくる。スラッシュはそれを避ける。二人はずっとそれを繰り返している。
「攻撃する機会が全然こねぇ~」
「うぅぅ…。攻撃が当たらないぃぃぃ」
組み合わせが非常に悪かったようで、戦いに進展がない。だが、変えようとすればやられかねない。そのような状況がずっと続いた。
「仕方がない。成功すればいいけどな」
と、スラッシュは素早くイノシシをキャプチャーしながらディアンの攻撃を避ける。そして、ディアンがスラッシュの横を通った瞬間に、スラッシュは猛スピードで追うようにして走った。
「うおわぁっ!?」
「もらったぁっ!」
スラッシュはディアンの足を掴み、彼の能力の関係上、イノシシをキャプチャーした今の状態では止まれないので、飛び上がる。そして、そのまま着地と同時にディアンを地面に叩きつけようとする。だが、ディアンもウサギを取り出してキャプチャーする。すると、ディアンの左腕からウサギが出てきた。ディアンはそれを盾にしてスラッシュの攻撃を無効にした。