10話 同盟
「雨が…降ってきましたね…」
「戦闘に影響がでなきゃ大丈夫だろ。たぶん」
「その前に、戦闘する必要がなければいいのですが…」
「そうは行かないみたいだぜ。能力をすぐ使えるように準備しておきな」
紫色のダークチカラチャオは両剣を取り出しながら言う。オレンジ色のヒーローノーマルチャオは木に近づいていた。紫色のダークチカラチャオが予告してからすぐに敵はやってきた。数は二。両方とも腕にはチャオキラーを示す特殊な腕輪が付けられていた。
「何が来るかわかんねーから、お前は攻撃受けないように離れておけよっ!」
「チャオキラー二人相手に一人で戦おうと。面白い…というより無謀だ」
「相手が何人だろーが、勝ち負けは運次第ってもんさ」
紫色のダークチカラチャオは両剣を振り回す。だが、扱いに慣れていないのか、相手を斬ろうとしたのと反対の刃が少し自分自身に当たっている。だが、激しい攻撃のために、多少の切り傷が緑のニュートラルハシリチャオにできる。だが、突然緑のニュートラルハシリチャオは大きく飛び退いた。
「その程度の腕か。話にならないな」
「じゃあそろそろ行きますかぁっ!!」
緑のニュートラルハシリチャオは赤いカオスドライブを、もう片方の赤のニュートラルハシリチャオはライターを取り出し、その炎をキャプチャーした。
「随分とあぶなそーじゃねーか?」
「そのようです…」
その「変化」を初めて見た者はそう感じても仕方が無くないだろう。なぜなら、緑のニュートラルハシリチャオの右手がカオスドライブのエネルギーをまとった大剣に、赤いニュートラルハシリチャオは炎をまとい、さらに背中には羽が消えた代わりにバズーカ砲が出てきたのだ。
「逃げるなら今のうちだが…?」
「ま、なんとかなるだろ」
そう言いつつ、紫色のダークチカラチャオは緑のニュートラルハシリチャオの動きを警戒する。その隙を見計らい、赤いニュートラルハシリチャオはオレンジ色のヒーローノーマルチャオの方へ駆け出す。
「燃え尽きr…」
「えいっ!」
オレンジ色のヒーローノーマルチャオは地面に両手をつけた。すると、その両手の少し前から木がもの凄い勢いで生えてきた。その一瞬の変化に対応しきれなかった赤いニュートラルハシリチャオは、木に顔をぶつけた。その直後に木は姿を消した。どうやらオレンジ色のヒーローノーマルチャオがキャプチャーしたようだ。すると今度は体の回りに鎧のような形をした光が現れた。その光は、オレンジ色のヒーローノーマルチャオに近い方からどんどん木に変わっていく。木の鎧は、ところどころがとがっており、特に手の部分はそれで殴れるように、木は長く、するどくなっていた。
「フハハハハ!逆効果だな!くらえぇぇっ!!」
赤いニュートラルハシリチャオの体中の炎は消え、それと同時に背中のバズーカからチャオの頭ぐらいの大きさの炎の弾が放たれた。炎の弾はオレンジ色のヒーローノーマルチャオに当たった。これにより、木の鎧は燃やされたと思われたが、火はすぐに消え、さらに木の鎧は多少こげていたが無事だった。
「木には水分が多く含まれているのを知らなかったのですか?それに、今日は雨ですし」
「だからって、そこまで耐えられるのかぃっ!!」
オレンジ色のヒーローノーマルチャオはここぞとばかりに赤いニュートラルハシリチャオを何度も殴る。しばらくして、赤いニュートラルハシリチャオはノックアウトした。
「やられたか。まぁ、俺はアイツのように失敗はしない。覚悟しろ」
「まさかこんな早く1体1になるとはね。こっちの方がラッキーでことだな」
「そんなことを言っている余裕があるのか?」
「ぐぁっ……」
緑のニュートラルハシリチャオは剣になった右腕を素早く振り回し、紫色のダークチカラチャオに攻撃をさせようとしない。さらに、緑のニュートラルハシリチャオは思い切り右腕を振って紫色のダークチカラチャオの両剣をはじく。そして、紫色のダークチカラチャオの腹部に剣を刺した。
「こっからが実力と関係ない、運の勝負だ」
「ほぅ、その傷で動けるとはな」
すると、紫色のダークチカラチャオは両手で押すようにして緑のニュートラルハシリチャオに触れる。すると、紫色のダークチカラチャオの両手がキャプチャーしているかのように光った。そして、緑のニュートラルハシリチャオの傷が全て消え、それと同時に紫色のダークチカラチャオは消えた傷と同じくらいの傷ができていた。
「面白い能力だ。自分を不利にするとはな」
「まだまだ…。もう一度っ…」
紫色のダークチカラチャオはまた同じことをする。今度は緑のニュートラルハシリチャオに紫色のダークチカラチャオの傷が移った。それと同時に、緑のニュートラルハシリチャオは痛みでその場に倒れ込んだ。
「ふぅ。この能力、一発逆転が可能なかわりに成功するかどうかは運次第だから困る…。と、なんとか勝ったみたいだから、また襲われないうちに行くか」
「そろそろ、城の方へ向かった方がよさそうですね」