9話(3) 命令

9話(2)ラストシーン

「くらえっ!師匠直伝『V』!」
ブレイブは刀で「V」を作り、それをギャラクシーの刀に叩きつけようとする。だが、ギャラクシーは素早くその攻撃を横に避け、ブレイブの真横から腹部を切ろうとする。

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「甘いっ!!」
ブレイブは素早く手を動かし、その攻撃を防ぐ。ブレイブは少し飛び上がって方向を変えると、またもやスピードを上げて走る。ギャラクシーの方は、ブレイブのスピードが上がるにつれて避ける回数の方が多くなってきた。ギャラクシーは解決策をスピードが上がり始めた頃に考えていたが、今ではそれを考える余裕がなく、ひたすら避けることに集中していた。

「『ドラゴンファイア』!!」
ブレイブは前進しながら体を回転させてその時向いている方向関係なく、次々に突きをギャラクシーに向けてやる。名前の通り、レア種の小動物「ドラゴン」をキャプチャーしたチャオが吐くと言われる炎をイメージしたものらしい。そして、最後に勢いよく前に踏み込んで突き。ギャラクシーは全ての攻撃を避けていたが、最後のその攻撃だけ彼の頬をかすめた。

「とどめぇっ!!」
ブレイブはそう言いながら二本の刀を振る。だが、その攻撃はギャラクシーが動かなくてもぎりぎり当たらない間合いでの攻撃だった。ギャラクシーはひたすらハイペースで避け続けていた疲れもあり、本来なら正しく判断して動かなかった攻撃に対して飛び退いてしまった。そして、ブレイブはニヤリとした。それと同時にギャラクシーの背後から何かが放たれる音がした。

「なにっ…」
「俺達の勝ち」
背後から放たれたのは赤いエネルギーの弾丸。放ったのは勿論フェルスである。その攻撃はギャラクシーの背中に当たった。そのまま倒れ込んだギャラクシーに二人は近寄る。

「お前、チャオキラーに入る気はないかぃ?戦いの勢いを感じ取りキャプチャーしてどんどん強くなるアイツの能力でここまで持ったのはお前が初めてなんだが」
「そんな気は全くない。そいつの能力も知れたし、もう思い残すことはない」
「お前…何言ってんだ?まるで死ぬみたいだな」
「何を言っている。貴様らはチャオキラーだろ?」
「確かにそうだ。俺達は与えられた任務を確実にこなさなければならん」
そう言ってブレイブは刀を頭と体の境目、人間でいうならば首とも言える部分に刀を近づける。ギャラクシーは演技かもしれないが、死を恐れていないような表情でいる。

「…どっか行け。お前がどう思ってようが、俺はお前を殺すつもりはない」
「ほぉ、そんなことをしていいほど甘いのか。チャオキラーは」
「いいや。命令に背いた場合はどんな目に遭うか分からない。だが、今回の命令ではチャオを殺せとは言われていない。元々殺しは好きじゃないしな」
「そうか。ならば最後に訊くが…それならなぜチャオキラーに入った」
「生きるため…だ」
ブレイブがそう言うと、ギャラクシーは立ち上がって去っていった。ギャラクシーの姿が見えなくなってから、フェルスはブレイブに質問をする。

「なぁ、なんでいちいち技名とかつけてるんだぃ?そんなのやってたら何が来るかわかっちまうじゃねぇのか?」
「まぁ、そうだが。編み出した技を忘れないようにするために、俺はそういう方法を取っているだけだ。…師匠がそういうことをするのが好きだったのもあるが」
ブレイブがそう答えてからしばらくして二人は城がある方向へと歩き出す。

彼らチャオキラーを除くチャオ達の締め切りの時が近づいてきているのであった。
チャオ達は様々な目的で城周辺へと集まっていく……。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第153号
ページ番号
20 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日