6話(2) 始まる計画(後編)


「なぁ、アイツさ、ライトカオスんとこで修行している時に見たビデオで最後に出てきた奴じゃないのか?」
「うん。黒だし、鎌持ってるしね。だけど…あの時はニュートラルハシリチャオだったはずだよ」
「だが…アイツの能力が他人の能力を一時的に封じるという能力の可能性は高い。どうする?」
「おーい!お前~!能力はなんなんだ~!?」
ディが大声で黒いダークオヨギチャオ訊く。何の前触れもなく言ったので、スラッシュは驚きのあまり目を丸くし、さらに頭のポヨが「!」になった。

「ククク、触れた奴の能力を消す。だが、それを聞いただけで勝てるとでもいうのか?」
「敵に能力を言うほど勝つ自信があるらしい。逃げた方が無難じゃあ…」
「そんなことはないさっ!この鉄球で攻撃すればぁぁっ!!」
ディの変化した右腕の縄と鉄球は真っ直ぐ黒いダークオヨギチャオに向かって飛んでいく。黒いダークオヨギチャオは鉄球の部分を避け、縄の部分を掴んだ。そして、その縄を鎌で切る。すると、鉄球と縄は光の小さな粒となり、少しずつディの右腕に戻っていく。

「大丈夫か!?」
「痛いよぅ…。あぁ、後一回でもいいから木の実を食べたかったなぁ~…」
「そ、そんなに酷いのか…?」
「ううん。痛いだけだよ。イッツオーバーリアクション」
と、ディは痛そうな顔をしながらも笑顔を作る。だが、頭の上のポヨは渦状になっていたのでスラッシュはやせ我慢するぐらいならゴロゴロ転がって泣いてろ。と思ってた。スラッシュはすぐに思考を敵の方に変える。むやみに近づいたらそれこそ勝機が無くなる(元々無いようなものだが)。では、どうすればいいのか?――

「そっちが来ないのならば、こっちから行く。と言いたいところだが、用事が出来た。まぁ、試作機にやられないように…な」
「待てぃ!お前、一体何者だ!!そっちから名乗れとか言われないように先に言うが俺はスラッシュ!んでもって、この怪我チャオがディだ!わかったか!!」
「そうだな。もうこれで誤魔化すこともないか」
と、左腕の白い腕輪に触れる。すると、白い部分がシールのようにはがれ、青い腕輪になった。それを見せながら黒いダークオヨギチャオは言う。

「通常配布される白い腕輪型カウント装置とは別に一部のチャオにこの青い腕輪が配布される。配布されるチャオは、王にその実力を認められ、雇われたチャオ。通称チャオキラーだ。俺はその一人、名前はクロウと言う。覚えておくがよい」
クロウと名乗ったチャオが窓から飛び降りてから、二人はディの腕が元に戻ってからゆっくりと歩きながらビルの1階まで行き、外に出た。外に出た瞬間、上空から緑色の何かが向かってきた。それに気付いた二人はその何かを避けた後、上を見た。そこには、プロペラで飛んでいる右腕が銃口になっているチャオ型のロボットが五機いた。その五機は、ゆっくりと地上に降りた。地上に降りると同時に銃口の細くなっている先端部がとれ、残りの部分から出たビームが剣の形になった。そして、少し浮きながら五機のロボットは二人に襲いかかってきた。

「相手は試作機らしい!まぁ、なんとかなるだろ!!」
「そうだといいけど…」
ディは右腕を縄と鉄球に変化させ、それでロボットを攻撃する。一機、二機は丁度鉄球の部分が当たり、破壊できたが、三機目は縄の部分が当たってしまった。その直後、そのロボットが縄を切った。

「ぐあっ…!!」
「イノシシキャプチャー、突進っ!!」
スラッシュは、イノシシをキャプチャーしてロボットに突進する。そして、ロボットを殴り飛ばし、それを追いかけて跳び蹴りで追い打ちして壊す。スラッシュは、残りの二機の方を向く。その瞬間、スラッシュの左と右を一つずつ紫色のカードのような物が飛んでいき、ロボットの背中に突き刺さり、ロボットが倒れると同時にそれは消えた。スラッシュはそれが飛んできた方を向くと、そこにはあのライトカオスと、見た事のない銀色のニュートラルチカラチャオがいた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第142号
ページ番号
13 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日