6話 始まる計画(後編)


今時にしては珍しい城。そこにこの国の王が住んでいる。その王は地下牢を真っ白なヒーローノーマルチャオと一緒にここ数年誰一人と牢に入ってない無意味な部屋の奥へ奥へと歩いていく。
「…!これはすごい」
「どうだ?いけるか?」
「こんなすごいのならば、1回なんてもんじゃありません。10回前後は確実です」
真っ白なヒーローノーマルチャオはにやりとして王に言った。たったったっと足音がしたので二人は振り返った。二人兵士が走ってくる。兵士はそれぞれ何かを一つずつ持っていた。それはチャオだった。両方ともニュートラルハシリチャオだったが片方は赤く、もう片方は緑だった。

「こいつら、どうしましょうか」
「うむ。そうだな、牢にでも入れておけ。せっかくあるのだからな」
「了解」
兵士はそのチャオ達を牢に放り込み、鍵を閉める。そして、去っていった。今度は、兵士とは別のチャオの走る音が聞こえた。そして、白いヒーローノーマルチャオがその走ってきたチャオに言った。
「丁度約束の時間ですね。ようこそ、クオス君」
「私は用事があるから上に行く。後は頼んだぞ」
「はい。了解しました」
「お前、チャオの霊をキャプチャーできるんだって?」
シャドウチャオは王が見えなくなるのを待ってから質問をする。シャドウチャオの質問に白いチャオは頷いて答えた。そして、その白いチャオは見えない何かをキャプチャーし始める。しばらくして、白いチャオはシャドウチャオに触れた。



ビルでの戦闘。数分間三人はその場を全く動いていなかった。だが、突然ディが頭のぽよを「!」にしながらスラッシュに小声で何かを話す。すると、スラッシュはカメレオンをキャプチャーせずに黒いダークオヨギチャオに突進する。黒いダークオヨギチャオが窓際から離れた瞬間、ディが無傷だった泥棒のチャオに何かを話す。そのチャオは頷いて窓から飛び降りる。着地する寸前に、少し羽ばたいて衝撃を少なくしたのを確認すると、ディは窓の外を見ながら一定の間隔でスラッシュの方を見ている。

「わざわざ姿を見せるとはな。何をたくらんでいる」
「俺は何も。ただアイツのお前を倒して止めさせるっつう無茶な話に乗っているだけさ」
黒いダークオヨギチャオはこのような時間稼ぎをしながら最善手を考えていた。おそらく、今目の前にいるナックルズチャオは時間稼ぎのための壁役。やつらが実行しようとしている作戦で重要になるのは窓の方にいるチャオに違いない。では、どうやってあのナックルズチャオを突破するか?いや、そう考えているだけ無駄だ。ここは順序良くやっていけばいい。まずはナックルズチャオからだ。黒いダークオヨギチャオは、そう考えるとスラッシュに向かって鎌を振ろうとする。だが、それよりも早くスラッシュが左手で鎌の柄を掴んだ。そして、スラッシュが右手で黒いダークオヨギチャオを殴ろうとした瞬間、建物が揺れた。すると、スラッシュはニヤリとして後ろに飛び退くと、カメレオンをキャプチャーして姿を消した。

「間に合わなかったか…!」
黒いダークオヨギチャオの真っ正面にいるディの右腕が光って形を変えていく。光が消えた時には、右腕の半分は縄となり長くなっていた。そして、その先端には鉄球が付いていた。基本となるものは外にあったクレーン車と鉄球。さきほどの揺れはその威力を確かめるために、わざと一回だけその鉄球をビルにぶつけたのだ。ディは右腕を振り上げ、振り下ろす。すると、ディの目の前の足場が砕けた。

「でいやぁぁっ!!」
「クッ、そういうことかっ…!」
ディは右腕を振り回し、黒いダークオヨギチャオの足下に鉄球がぶつかる。その直前に飛び退いた黒いダークオヨギチャオは何かにぶつかった。その何かは少しずつその赤い体を見せる。完全に姿を見せたスラッシュは、消える直前のようにニヤリとして黒いダークオヨギチャオを今できたばかりの穴の中に投げ落とした。そして、ディは右腕を振り回し、どんどん足場を砕いて下にいる黒いダークオヨギチャオに向けて攻撃をしている。

「うおぉぉぉぉっ!!」
「ククク、なかなかやるな」
黒いダークオヨギチャオは落ちてくる足場とスラッシュの攻撃の二つを避けている。そして、ほとんど足場が無くなったためにディが降りてきた。すると、スラッシュはディの側に行き、小声で話しかける。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第142号
ページ番号
12 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日