5話(2) 始まる計画(前編)


「お前の能力は、キャプチャーした能力を両剣に移す事で切れ味を上げたり、軽くして扱いやすくする。というものだな?」
「だからどうした。知ったら対策が練れるわけか?」
「対策も何もない。能力を一時的に消させてもらおう」
「なっ…!!」
クロウの両手が両剣に触れた。その瞬間両剣の赤い光は消え、重さも元に戻った。再びカオスドライブをキャプチャーしても能力が両剣に移せなかった。緑のニュートラルハシリチャオはクロウの方を見る。目は丸く、ポヨが「?」になった状態を見れば、この状態で戦おうと決意したわけではないのは明確だ。それを見たクロウはふっと笑ってからこう言った。

「もはや、お前には勝ち目がない。わかったか?」
「そんな鎌、俺の両剣で…!!」
緑のニュートラルハシリチャオは両剣をクロウへ向けて振り回す。だが、我を失った彼の攻撃はクロウの鎌で防ぐ必要もなかった。そして、突然彼の攻撃は止まった。倒れた彼の背後にはディアンがいた。クロウは不思議に思った事を率直に言った。だが、彼のポヨは「?」になっていない。
「…何故、気絶だけですますのか?特製の爪を手にはめればよかったものを」
「こんなやつらに使うのはもっいないよ。それと、命は大切にしなきゃ駄目だよ」
「こんなやつらが相手で俺の鎌を使うのはもったいなさすぎるとは思わないか?」
「まぁね」
数秒沈黙が続くが、クロウが別の話題を持ち出した。

「ここからは二手に別れないか?その方が効率がいい」
「あぁ。わかった。そんじゃっ」
二人が反対方向を向いた。狙い通りだ。そう思ったクロウは素早くディアンの方を向き鎌を振り上げた。

「…ちっ!」
「だぁーかぁーらぁー。殺気むんむんって言ってるじゃん。それにね、チャオっていう生き物は大抵殺気がゼロだからさ、背後から攻撃されてもすぐわかるんだってば」
「合流は1万ポイント稼いだ時か偶然会った時だ」
「…。まさか、それを言うためだけに今のを?」
ディアンが訊くと、クロウはこくりと頷いた。コイツ一体何なんだ。クロウと数年一緒にいたディアンですらそう思ってしまった。だが、すぐにディアンはまた攻撃されてはたまらないとばかりに飛んでいった。クロウはその反対方向へと歩いていった。その数分後に4体ほどのチャオのような物が赤いニュートラルハシリチャオと緑のニュートラルハシリチャオをどこかに運んでいったことに、二人は気付かなかったのであった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第140号
ページ番号
10 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日