5話 始まる計画(前編)

二人のチャオは竹林の中を走っていた。彼らは同盟を組んだわけでもなければ、今までに会ったことすらない赤の他人。共通点といえば二人とも色は違えど、ニュートラルハシリチャオなこと。そして、二人とも同じチャオ達に追われていることだった。

赤いニュートラルハシリチャオが話しかける。
「ここまでくれば、もう大丈夫なんじゃないのかっ!?」
「そのはずだが、後ろから気配がする。逃げられるのもここまでだ。能力を発動したほうがいいぞ」
緑のニュートラルハシリチャオは柄の両側に剣の刃が付いた両剣を片手にそう言った。すると二人は立ち止まり、気配のする方を向いた。すると、二人のチャオが見えた。その二人は彼らに近づき、止まった。ここは二人でどうにかするしかない。緑のニュートラルハシリチャオはそう思った。赤のニュートラルハシリチャオの方を見ると、戦う気でいるような真剣な目つきだった。

「ククク。残念だ。背後からやってやろうと思ったのだがな」
「何言ってんだよ、クロウちゃん。気配っていうか、殺気を思い切り出してたから絶対背後から無理だって」
「そういうでない、ディアンよ。結果としては貴様の出番もできたのだから喜ぶのが適当だろう?」
「ま、そう言われてみるとそうだねぇ」
クロウと呼ばれた鎌を持った黒いダークオヨギチャオと、赤いダークヒコウのディアンと呼ばれたチャオは、二人を睨んだ。異常なまでの殺気が感じられた。緑のニュートラルハシリチャオは両剣の柄を強く握った。

「ちくしょおっ!!やられてたまるかぁっ!!」
「鎌か。私の両剣とどこまで張り合えるかな?」
赤いニュートラルハシリチャオはライターを取り出し、そのライターの火に触れた。すると、体中が炎に包まれた。一方緑のニュートラルハシリチャオは赤いカオスドライブをキャプチャーする。両剣の刃が小さな赤い光を放ち始めた。また、ディアンは小動物を三匹ほどキャプチャーする。しかし、クロウは何もキャプチャーせずに鎌を構えた。

「燃え尽きろぉぉぉぉぉっ!!」
「それって、ただ手が燃えているだけじゃんか」
「!?」
「ハァァァァッ!!」
炎をキャプチャーすることで炎を身にまとった赤いニュートラルハシリチャオの攻撃は、左腕に作られたディアンがさきほどキャプチャーした小動物の盾によって防がれた。そして、ディアンはジャンプをして緑のニュートラルハシリチャオの方へ行った。その間にも小動物をキャプチャーしていく。その直後に赤いニュートラルハシリチャオの背後で声がした。赤いニュートラルハシリチャオは単一電池を取り出してキャプチャーする。すると炎が消え、電気が赤いニュートラルハシリチャオの身を包む。その電気が鎌を振り下ろそうとしていたクロウの手に当たり、クロウはやむを得ず退いた。

「貴様の能力では、私の攻撃は防げんっ!!」
「ハハハッ。でもその攻撃、避けやすいよ」
「これで終わると思うな」
緑のニュートラルハシリチャオは紫色のカオスドライブを取り出し、キャプチャーした。そして両剣での攻撃を再開する。今度は、さきほどより攻撃スピードが上がっていた。これが彼の能力だ。

「クロウちゃん!こいつの相手をしてくれぇ!!」
「ふん。わかった」
ディアンはまたジャンプして赤いニュートラルハシリチャオの方へ行く。クロウは走って緑のニュートラルハシリチャオに接近する。ディアンよりはるかに上の殺気を緑のニュートラルハシリチャオは感じた。駄目だ、勝てない。しかし、逃げられもしない。彼は攻撃に出た。

「今度こそ、燃え尽きやがれぇぇぇっ!!」
「攻撃時には炎、防御時には雷。といったところなのかな?わかりやすいね」
「た、盾じゃない…?」
ディアンの体を小動物達がまるで鎧のように包んでいる。その鎧に赤いニュートラルハシリチャオのパンチは止められた。そして、ディアンが赤いニュートラルハシリチャオを殴り飛ばした。赤いニュートラルハシリチャオは竹にぶつかった。そして、ディアンは追い打ちで数回赤いニュートラルハシリチャオを蹴った。赤いニュートラルハシリチャオは竹に打ち付けられ、気絶した。ポヨは球体に戻らずに、渦を巻いているままだ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第140号
ページ番号
9 / 37
この作品について
タイトル
カラテの世界
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第134号
最終掲載
週刊チャオ第169号
連載期間
約8ヵ月3日