4話 タイムリミット発生
カラテの世界 4話 タイムリミット発生
「起きてくださいよぉー」
ライトカオスが二人を蹴ったり転がしたり、壁にぶつけたりなどして二人を無理矢理に起こした。二人は眠そうに目をこすっているが、そんなことはおかまいなしに話を再開する。
「さて、二人とも何かの夢を見たと思います。その夢で、何か能力を使ったと思います。それが、あなた達の能力となります」
「なるほどな。わかった。ここにはなんか小動物はいないのか?」
「私のペットのカメレオンが数十匹いるだけですが…?」
「それで十分だ。そいつらをちとキャプチャーさせてもらおう」
そう言うと、スラッシュは奥の部屋に入る。しばらくして、カメレオンを掴んで戻ってきた。そして、それをキャプチャーした。すると、体が透明になっていく。しばらくして、元に戻り、説明し始めた。
「俺の能力は、限られた範囲の動物の能力をキャプチャーするようだ。カメレオンなら変色、フクロウならば夜の森でも大丈夫になるなどだ」
「ほほぉー。でも、多少動いただけでぶれるので見え見えですね。さて、さきほど言い忘れていましたが、二色の色が混ざり合うような渦の渦は吸収キャプチャーもあるということらしいです。吸収キャプチャーの能力がない場合は、二つの色が混ざった状態で出るのです。ちなみに、そのように三つの能力を持つチャオは大変珍しいのです」
「ヤッタネ、ラッキー!」
「さぁ、早く何ができるかを見せてください」
「えぇー。なんでそう急かすの~?別に後でもいいじゃん」
「駄目です。所詮は夢。時間が経てば忘れてしまいます」
ライトカオスがそう言うと、ディはため息をついてから近くにあったナイフを左手で持った。
「はっはやまるな!!いい能力じゃなかったとしても諦めるな!!」
「違うよっ!!これを使うの!!」
「あ、なんだ。そうなのか。俺の能力に圧倒されたのかと」
「んなわけないっしょ」
ディはナイフをじっと見つめている。しばらくして、ディの右手が青白い光に包まれながらゆっくりと形を変えていく。変わっていけばいくほど光は強くなる。まるで、右手だけが光のマユに包まれているようだった。そして、そのマユは右手に吸収されるように消え、ナイフのような刃物に変化した右手が現れた。
「説明いくよ。まず、僕は目で見た物もキャプチャーできるみたい。んでもって、そのイメージを右手に具現化するってな能力さ」
「なるほど。了解。それでは、修行をします。まず、精神力を鍛えます。これによってキャプチャー終了までの時間や変身の速度、完成度が変わってきます。また、相手の能力に動揺しないで正確に能力を出すためにも必要なのです」
「へぇ、どうやって鍛えるんだ?」
ライトカオスは「これを使います」と言い、何かをばらまく。それは、人間が使うホチキスという道具の芯だった。
「これを同じ方向に積み重ねます。1mmでもズレがあると、崩れてしまうので気を付けてください」
「!?」
「これは、一回一回の集中力が必要です。また、この金棒を使えば崩れた時に動揺しなくする訓練にもなります」
「え?なんで金棒で動揺しなくなるの~?」
「うむ。いいかねディ君。動揺したらこれで叩くぞオラ」
「ひぃぃぃぃ!!」
ライトカオスの言っている事に怯えているディを見ながらスラッシュは苦笑いをして多少納得していた。だが、それもつかの間。すぐにその修行は始まった。
「ぐあぁ!崩れたぁぁぁ!!」
「うるさいです」
「集中集中(スラッシュ君、南無阿弥陀仏)」
そのような過酷な(金棒を振り回しているライトカオスは割と楽しそうだったが)修行はなんと一月の半分ほどかけて行われた。この時、この国中を騒がすとてつもない発言がこの国を治める大王の口から出た。