2話(2) ボクラとアイツ
「ここにするか」
街の広間。街灯で明るく、さらに広い。真ん中には噴水がある。そして、スラッシュが石を投げ、噴水の小さな池に入った瞬間、戦いは始まった。
「でぇぇぇぇい!!」
スラッシュとディは左右に分かれ走り出す。挟み打ちにするつもりだろう。一方のラ・ダ・クオスは動く気配もない。
「でやぁっ!!」
二人の攻撃を噴水の方向へ飛び、避ける。そして、二人は噴水に落とすように逃げ道を無くしながら攻撃をしていく。そして、案の定、ラ・ダ・クオスは噴水の小さな池に飛びこんだ。
「やはりな」
「え?」
「やはり、アイツは泳ぐのが遅い」
「ほほぉ~」
「この勝負!もらったぜっ!!」
スラッシュもまた飛び込み、泳いでラ・ダ・クオスを追う。二人の距離が少しずつ縮まって行っていた。そして、スラッシュは壁を蹴って攻撃をした。しかし、ラ・ダ・クオスは底まで潜り、回避する。そして、そのままラ・ダ・クオスは何かをキャプチャし始めた。水の中に入っていないディは、それが黄色いカオスドライブだと分かった。さらに、ラ・ダ・クオスの体が変形してきた。トゲが少し垂れ下がり、ラインの色が赤からオレンジっぽく変色していた。そして、ラ・ダ・クオスはさっきとはケタ違いな速さでスラッシュに近づき、足を掴んだ。スラッシュはそのまま底に叩きつけられた。そして、しばらく二人は水中にいた。先に水中から出てきたのはラ・ダ・クオス。素早く地上に上がった。スラッシュの方は、ゆっくりと底から浮かんできた。
「残りはお前だけだ」
「ぬぅ」
ラ・ダ・クオスはかなりの速さでディに接近する。ディの足では逃げられそうになかった。なので、ディは防御態勢になる。ディはラ・ダ・クオスの攻撃が顔面パンチだと分かった瞬間、前屈みになり、相手の腹部に直撃……するはずだった。しかし、攻撃をしていない左手がディの後頭部を思い切り殴った。そして、ラ・ダ・クオスが飛び退く。
「くぅ…」
「油断はできないようだが、実力が無いな」
「そんなもん…くっ」
「そろそろ終わらせてもらおう」
ラ・ダ・クオスは赤いカオスドライブを取り出す。そして、キャプチャした。頭の形とラインの色が変わり、ディに襲いかかった。ディはさきほどのダメージで動きが鈍り、何の抵抗もせずに攻撃をくらい、倒れてしまった。薄れる意識の中でディは腕輪に00216と表示されているのを見た。