2話(1) ボクラとアイツ
カラテの世界 2話 ボクラとアイツ
「ふふんっ♪もう20まで行っちゃったよ~♪」
ディは森を抜け、街の周辺で敵を見つけては倒す。夜になったらすぐに街へ行き、宿に泊まるということだった。そして、周囲を見渡すと赤いチャオがこちらに来るのがわかった。
「よし。今日最後の敵にしちゃうぞぉ~」
今は日が沈みかけている。日が沈まないうちに倒すつもりなので、その赤いチャオの方へ走っていく。すると、その赤いチャオも走ってきた。そして、両者はある程度の間合いで止まった。赤いチャオはナックルズチャオだった。
「なんのようだ?」
「いやー。ポイントちょーだいっ」
「ちょーだいっ、じゃねぇ!!誰がやるかっ!」
「みんなそれ言うんだよネ~。ワンパターンで飽きるよ」
「知らん、そんなこと(汗)」
「と・に・か・く!!行くよ!?」
「フン。逃げるなら今のうちだぞ。これを見ろっ!!」
ナックルズチャオは手が3~4本に見えるほどのスピードでパンチを連打している。ディはディマガとの特訓を思い出す。確か…集中して相手の隙をうかがい、右手にパワーを集中させて打ち込む!目に全神経を注ぎ込んで相手のパンチをよく見た。すると、今まで3~4本に見えたパンチは、一本はパンチを打ったところ、二本目は打つ途中、三本目は引いている途中なまでに見えた。そして、力を右手に集中させ、パンチを避けるように正面から接近する。
「うらあぁぁぁっ!!」
そして、右手で殴る!って、え?右手がまるでチーターのようだよ。え?チーターをキャプチャしてたんじゃないのって?小さい時にキャプチャしたことあるけど、その時はどこにも変化なかったし。色々と変なチャオだったんだよね。僕は。しかも、足どころか左手もいつも通りのニュートラルノーマルな手。なんでなんだろ。…ところで、あのナックルズチャオは?あ、ちゃんとガードしてたのか。なぁんだ。
「……!!つえぇ…」
「わぁー。僕ってこんなすごかったのかー」
「…知らなかったのか」
「う、うん」
「ところでよぉー。お前、俺と組まないか?」
「え?できるの?」
「…。大きな街にある機械を使えば、ポイントを共有できるようになる。あの街にもあるんだ。そうすれば組んだ事になる。一人じゃ一日に100が限界でよ。まだ206しかポイント稼いでねぇんだよ」
「わー。すごー。僕なんかまだ20だよー」
ナックルズチャオは多少後悔しながらも、街へ向かう。そして、機械に二人の腕輪をはめ、スイッチを押す。すると、二人の腕輪には00226と表示されていた。
「これで完了だ。さて、今日は宿に泊まるぞ」
「え?お金あるの?」
「フハハハハ。これを見ろ」
「うわぁー。すごい数のカードだー」
「全部俺に刃向かった奴から盗った」
「えぇぇ!?」
「無論、お前のもある」
「えぇぇ!?返してよ!」
「これは、預かっておくからな」
ナックルズチャオは、カードを一枚ずつゆっくりと見る。
「さて、宿屋はどこかなっと」
「宿屋じゃなくて高級ホテルは駄目?ほら、高いから見えるよ」
「駄目だ。一泊するだけでかなりの値段になる。っと、あったぞ。宿屋」
二人は宿屋に入り、カウンターの人にナックルズチャオが話しかける。
「一泊いくらだ?」
「チャオ二名様の場合は、2000リングになります」
「はぁ~?高いよそれ。困るんだよね。そういうの。ほら、この腕輪見てよ。もう226ポイントも稼いでるんだよ?そんなにお金持ってないんだよね」
「…愚か者め。金はちゃんと払うのが礼儀だろ」
ナックルズチャオの背後から声がする。ダークハシリチャオだ。そして、これはチャンスとばかりに、カウンターの人も
「あのお方、ラ・ダ・クオス様は1000リングのところを2000リングも払ってくださったのですよ」
「そういうわけだ。金がないなら俺と勝負してみるか?俺に勝てたらお前らの分も払ってやるが」
「望むところだ!!なぁ、……お前の名前なんだ?」
「…え?あ。僕はディ。君は?」
「俺はスラッシュだ。っと、とにかく!大武道帝国最強と呼ばれた一家、ラ・ダの名。本当か試させてもらおう」
「えぇぇっ!?そんなすごいやつなの!?ヤメトコッ!?」
「駄目だ。俺の本能があいつの言葉に異常反応して、今にもあいつをぶん殴りそうだ。」
「それって、挑発にのりやすいただの短気…」
「おっしゃるとおりです」