第4話

かくして、メシアとトラビアの一騎打ちは始まった。

トラビア「夜になる前に、決着をつけてあげる。」
メシア「その言葉、そのまま返させて頂くわ。」

夕暮れの街に、剣の交わされる音が響く。

時間は刻々と過ぎていくが、ギャラリーの数は一向に減らない。
ただし、メシア達4匹が公国からの刺客だという事実を知っている者は、数える程しかいないだろう。
単なる剣術の試合と思っている者も多かった。

トラビア「そこの3匹、随分暇を持て余してるみたいだねぇ。
そんなに暇だったら、ここに兵士がいるから、そいつら相手に遊んで頂戴。」

そう言うと、ある方向から一斉に数十人の兵士が向かってくる。
そこにいた野次馬は、慌てふためき逃げた。
マルト「なっ!?」
スーリヤ「くっ!?」
慌てて剣を抜く3匹。
それをトラビアは一瞬振り返り、すぐにメシアに視点を戻す。
決着はいっこうにつきそうにない。

クルス「おりゃぁっ!」
兵士に向かい剣を振り下ろす。
3匹が舞うように兵士を斬っていった。
数分と経たぬうちに、兵士の中で生きている者は皆消えた。

野次馬「・・・!!!!」
この様子を見て、突然ざわめき出す観衆。
中には逃げ帰る者もいた。

トラビア「(まさか・・・・くっ!)」

メシア「どうしたのかな?ちょっと動揺してるっぽいけど。」
トラビア「・・・もう夜ね。悪いけど、本気を出させて貰うわよ。」

そういうと、一気にトラビアがメシアに斬りかかる。
メシア「きゃあぁっ!」
トラビア「あらら、おしまい?」
しかし、彼女は諦めてはいなかった。
トラビアが止めを刺そうとしたわずかな隙を突き・・・
メシア「逆転っ!」

一気に勢いを増して、トラビアを押し返す。
そして、壁際に追い込んだ。
メシア「あたし達は公国のために戦ってるんじゃない、自分達の為。
だからこそ!」
剣を思いっきり振ったら、トラビアの剣が宙を舞った。
しかし、メシアがトラビアの首に向けた剣は・・・・

寸でのところで止まった。
マルト「なっ!?」
彼女の頭に、ある考えが浮かんだからである。

メシア「そういや、街で聞いたんだけどさ、アンタ他の四天王から除け者にされてるってホント?」
トラビア「・・・!!」
メシア「このまま逃がしてもいいんだけどさ、果たしてクリルに帰って居場所はあるのかな?」
トラビア「・・・そうだと思ってるなら、殺しなさい。」
メシア「あたし、あんまり、死ぬところって、見たくないんだ。」
そう言うと、剣を置いた。

長い沈黙が辺りを包む。
どれくらい経っただろうか。

トラビア「・・・ここは一本取られたわね。力になれるのなら、クリルまで行ってもいいわよ。」
クルス「そういう魂胆だったんか・・・。」
メシア「まあね。」
観衆のざわめきが消えぬうちに、皆は何処かに消えていた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第7号
ページ番号
4 / 7
この作品について
タイトル
鐘の鳴る日まで
作者
ホップスター
初回掲載
祝!復刊!週刊チャオ第1号
最終掲載
週刊チャオ第12号
連載期間
約2ヵ月19日