その3

明け方に彼は目が覚める。
今日は牛と羊の世話をしなければならない。
そして、このチャオの世話も、だ。
小川で顔を洗う。
この小川はまだ上流の方なので、汚れてはいなかった。
そして、昔の下水道が残っており、そこに用を足すので、
いつも通り、きれいだった。

「さてと、チャオ、起きたか?」
「チャ・・・チャァ・・・。」
「ったく、おびえているのかよ。」

朝になって、起きてきたチャオに彼はトウモロコシを差し出す。
チャオはなかなか食べようとしない。
きっと食べたら蹴られると思っているのだろう。
なかなか頭が良い奴だ。
彼はそんなことを思いながら、家を出る「ふり」をする。
そして、見つからぬよう、そっと窓から彼を覗いた。

チャオはしばらくトウモロコシを見つめていたが、
急に、それにかぶりつき勢いよくあっぷあっぷと食べ出した。
彼は急に飛び出して驚かそうと思ったが、
レイルに怒られそうなのでそのままじっとチャオを見ていた。

数日後。

俺はまたいつものようにレイルの家に向かっていた。
チャオは俺の後ろをとことこ着いてくる。

…もうなついてくれたのか?

そう言えば、トウモロコシを食べているときハートの形の、
頭の変な物体が変化していた。
もしかしたらあれは俺のことを少しでも好きになった証拠か?
でも、そうだとしたら…うれしいな。

俺はチャオをそっと抱き上げた。
また、頭の形がハートに変わっていた。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第261号
ページ番号
3 / 3
この作品について
タイトル
カクテル・スラム
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第261号