10話 実験
クラントとコルドはミストとラスターに自分達が見たことを話した。
ミスト「本当なの!?」
クラント「うん。」
コルド「見た所カイトを抱えていったのはノヴァ帝国九幹部の一人、デスフィアだ。奴が入っていったということは基地も使われている可能性が高い。」
ラスター「どうするんですか?」
コルド「進入するしかあるまい。警備システムなどがあるだろうから慎重にな。」
コルド達は基地に進入した。その後を追うようにもう一人チャオが入っていった。
実験室では。
研究員チャオ「ミラージュ様。」
ミラージュ「位の低い者は幹部のことを「スキルネーム」で呼ぶはずですが?」
研究員チャオ「し、失礼しました、蜃気楼(しんきろう)様。」
ミラージュ「まぁ、いいでしょう。それより何です?」
研究員チャオ「はい、あの実験の準備が整いました。」
ミラージュ「そうですか、いきましょう。」
ミラージュは実験室内のあるカプセルにカイトを入れた。
カイト「・・・・・・・・」
ミラージュ「よし、溶液を入れて下さい。」
研究員チャオ「はい。」
カイトの入ったカプセルは何かの溶液で満たされた。
近くのモニターにカイトの身体がサーモグラフィーのように表示された。その下には「侵食度」と表記されている。
ミラージュ「フフフ・・・」
そのころあやつらは。
コルド「あそこに警備システムがある。こっちだ。」
クラント「カイトさんは無事でしょうか・・・」
ラスター「どう考えてもあの状況じゃ無事じゃなさそうだが・・・」
ラスターはごくふつーのことを言った。
ビー!ビー!ビー!ビー!
ミスト「!?」
クラント「バレた!?」
コルド「いや、待て!」
コルドはクラント達と共に近くの箱に隠れた。
アナウンス「南区域実験室周辺に侵入者!総員向かえ!」
ラスター「南区域?」
コルド「ああ、ここは西区域。違う侵入者がいるんだろう。」
実験室では。
ミラージュ「侵食度68、69、70・・・」
バガァァァァン!!!
ミラージュ「!?」
扉が吹き飛び、チャオが一人入ってきた。そのチャオは・・・
バトロス「カイトを返してもらおうか!」
バトロスであった。
研究員チャオ「なんだお前・・・」
バトロス「ハッ!」
バトロスは研究員チャオを切り払いミラージュに剣を突き刺したが、
ミラージュ「残念ですね、幻ですよ。」
ミラージュの幻はゆらゆら揺れながら消えた。
バトロス「ミラージュ、スキルネーム「惑いの蜃気楼」・・・こういうことか・・・」
ミラージュ「その通り・・・フフフ・・・カイトは返しますよ・・・早く助けてあげなさい・・・」
バトロスはカイトの入ったカプセルを叩き切った。
カイト「ゲホッ、ゲホッ、ガハッ・・・」
バトロス「カイト!無事か!?」
カイト「うん・・・ありがと・・・・・・ウゥッ!!」
バトロス「カイト!?」
カイト「うう・・・バトロス・・・逃げて・・・自分が・・・抑えられなくなる・・・」
バトロス「カイト・・・」
カイト「う、うわあああああああああ!!!」
西区域。
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!緊急事態!緊急事態!ただちに脱出せよ!
クラント「今度はなにぃ!?」
コルド「とにかく出るぞ!」
クラント達が外に出た瞬間、建物が崩れた。
ミスト「何なの!?」
その時、ガレキからチャオが一人飛び出してきた。
そのチャオはクラント達の前に着地した。その姿を見てクラント達は驚愕した。
ミスト「そ、そんな・・・!」
ラスター「なぜ・・・!」
コルド「まさか・・・」
クラント「・・・カイトさん!!」