11話 闇解放
目の前にいるのは確かにカイトである。
しかしその姿は違っていた。
水色の身体は所々黒く変色していた。
目は輝きを失い、赤くくすんでいる。
カイト「何だ、てめえら。」
その声を聞いた途端、クラント達は無意識に戦闘態勢になった。今のカイトは仲間じゃない、と直感したのだろう。
クラント「お、お前は誰だ!」
カイト「俺か?俺はカイトだ。だがてめえらが知ってるカイトじゃねえ」
コルド「まさか・・・」
カイト「そうだ、俺は闇開放状態のブラックカイトさ。」
ミスト「闇開放・・・?」
Bカイト「そうさ、俺とアイツは別々なんだよ。」
ラスター「なぜ闇開放状態になったんだ・・・」
そこまで言った時、Bカイトはラスターの目前に移動していた。
Bカイト「さっきからゴチャゴチャうるせえんだよ!」
Bカイトはラスターを殴り飛ばした。
ラスター「ぐはっ・・・」
ラスターは後ろにあった岩に頭を打ち付けて気絶してしまった。
ミスト「ラスター!」
Bカイト「俺はゴチャゴチャはなすのは嫌いなんだよ。」
そう言ってBカイトは手に黒い炎を溜めている。
Bカイト「黒炎砲弾!!」
カイトの蒼炎波よりも速く強い黒い炎の塊がコルドに向かって飛んできた。
コルドは剣を横向きにして黒炎砲弾をぶっ叩いた。
コルド「ぐおおおおりゃあああああああああ!!」
コルドはBカイトに向けて黒炎砲弾を打ち返した。Bカイトは普通にかわした。
Bカイト「チッ、馬鹿力が・・・」
コルド「昔それしかとりえが無いって言っただろ?」
Bカイト「フン、黒炎砲弾!」
今度は二発飛んできた。
コルド「どりゃああああああ!!」
コルドは二発とも返した。
Bカイトは一発かわしたが一発食らった。
Bカイト「クゥ・・・・・・てめえ!!」
Bカイトは黒炎を手からレーザー状にして一気に放出した。
Bカイト「黒炎・バースト!!!」
レーザーは一直線にコルドに向けて飛んでいく。
コルド(弾けないし・・・かわせない!)
レーザーはコルドのいた辺りの地面を大きくえぐりとった。
クラント「そんな・・・」
ミスト「コルドさんまで・・・」
Bカイト「この程度か・・・」
コルド「誰がこの程度だって?」
地上の御三方「!?」
コルド「助かったぜ、バトロス。」
バトロス「あまり偉そうにするな、コルド。私が助けなければどうなっていたことか・・・」
コルド「分かってるって。じゃ、あの技やるか。」
バトロス「懐かしいな。いくぞ!」
バトロスはコルドを掴んで高く飛び上がった後、一気に急降下して来た。
コルド「クラント、ミスト、離れろ!」
クラントとミストはその場から離れた。
Bカイト「何をする気だ・・・」
コルド「すぐに分かるぜ!おらよっ!」
コルドはバトロスを蹴ってさらに加速して落ちてきた。
Bカイト「!!」
コルド&バトロス「協力技、ブランディッシュマグニチュード!!」
コルドは大剣を思い切り振り下ろした。Bカイトはギリギリかわした。
Bカイト「外したな・・・」
コルド「それはどうかな!」
次の瞬間、コルドが叩いた辺りの地面が爆発した。
Bカイト「な、何!?ぐわああああああああ!!!」
やがて立ち込めていた煙が風に吹かれて視界が開いた。Bカイトが倒れている。
コルド「カイト・・・」
Bカイト「何だ?」
コルド「!!」
Bカイトは立ち上がってコルドを剣で斬りつけた。
コルド「ぐわあっ!!」
Bカイト「チッ、一本しかねえのか・・・でも、こいつ殺すには十分だ。」
Bカイトがコルドに剣を突き刺そうとした時。
Bカイト「何・・・身体が・・・動かん・・・!」
カイト(もう・・・やめろ・・・!)
Bカイト「チィ・・・!お前か・・・!」
カイト(これ以上・・・みんなを傷つけるな・・・!)
Bカイト「うるせえ!てめえは黙って仲間が殺される所を見てろ!!」
カイト(そんな事・・・僕が・・・許すはずが無いだろ!うおおおおおおおおおお!!!)
Bカイト「グオオオオオ!!」
Bカイトは蒼炎に包まれた。
Bカイト「バカな・・・だが・・・また・・・いつか・・・這い出して・・・やる・・・・・・!」
蒼炎が消え、カイトはその場に倒れた。姿は元に戻っていた。
コルド「カイト!」
クラント「カイトさん!」
ミスト「カイトさん!」
バトロス「カイト!」
全員がカイトの元へ駆け寄った。
カイト「うーん・・・・・・」
コルド「カイト!」
カイト「みんな・・・その・・・ごめん・・・。」
クラント「カイトさんは悪くないですよ。」
カイト「・・・ありがとう・・・。」