第十四話 ~賞金稼ぎ二人組~

扉を開け奥の部屋へ入っていったユリカゲ一行。
部屋に入ると、今までよりも数段グレードアップした豪華さが漂っていた。
部屋にいるチャオは十数人にも満たない。

「あれ?思ったより数がすくねえぞ?」

アスカナがひょうきんな声を上げる。
それに呆れたようにシラウズが答える。

「受付開始から時間たってねんだから当然だろーが。
 開始までに本部ビルについてたやつもどれぐらい居たんだか・・・。」

とそのとき、

「はい、登録完了いたしました。奥の扉からどうぞ。」

と先程の受付係の声がした。

それと同時に二人のチャオが入ってきた。

「ここが会場かあ?全然チャオがいねえじゃねえかあ!」

と全身オレンジのNPRのチャオが入ってきた。態度も声もでかい。
さらに後ろからもう一人。

「受付開始の時間考えろよ・・・そんな居なくて当然だろがボケ。」

冷静にシラウズとアスカナの会話を繰り返すのは全身が青いHRNのチャオだ。
けだるそうにあくびをしている。

HRNのチャオがシラウズを見た。すると表情が一気に変わってシラウズに駆け寄ってきた。

「お前シラウズじゃねーか!?俺だよ!ウキマチ!
 覚えてねーか?ほら、賞金稼ぎで!」

途中まで眉間に皺を寄せて聞いていたシラウズも、だんだんと思い出してきたのか、手をポンと叩いた。

「おお、ウキマチか!案外早かったなあ!」 

ぽかんとして聞いていたアスカナが、シラウズに訊く。

「誰?」

「おぉ、ワリ、こいつらはウキマチとアタギト。昔の賞金稼ぎ仲間だよ。
 二人ともドライブ能力を持ってる。それと被り物団入団希望者だ。」

「へえーー、ヨロシクな!ウマキチ!アタギト!」

「ウキマチだ!まあよろしくな。」

「ふん!シラウズのつれだからって容赦はしねえぞ!ガハハハハ!」

そこへまた新しいチャオがやって来た。

(ここが受験会場かあ・・・。よし!がんばるぞ!)

握り締めた拳には、青い星が描かれていた。
そのチャオがアスカナに気付く。

「あっ!あのチャオはセンロシティでぶつかった・・・謝らなくっちゃ!)

そのチャオがアスカナに近づいていく。
少し手前まで来ると、アスカナも気がついたようだ。

「お前は・・・駅でぶつかった・・・」

「はい!僕、トキっていいます!センロシティではスイマセンでした!」

トキが深々と頭を下げた。

「いや、いいっていいって。お前も受験者か?」

「は、ハイ。よろしくお願いします!」(よかった、怒ってないみたい。)

数時間が経った。

途轍もなく広かった部屋も受験者で満員となり、用意されていた第二、第三の部屋も満員になった。

「そろそろ終了の時間だな。」

とシラウズが時計を見ながら言った。

数分後・・・・・

部屋にアナウンスが鳴り響く。

「被り物団入団試験受験者の皆様。受付終了の時刻となりました。
 ただいまから十分後に試験の説明を開始いたします。
 それまでもうしばらくお待ちください。」

それを聞くと共にほとんどのチャオが静まり返った。
ユリカゲが改まって言う。

「いよいよだな・・・」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第278号
ページ番号
15 / 17
この作品について
タイトル
被り物団の仲間達
作者
トリップ(ユリカゲ)
初回掲載
週刊チャオ第267号
最終掲載
週刊チャオ第280号
連載期間
約3ヵ月2日