第十二話~CHAO−POLICE到着!~
駅を出た列車は、地下のトンネルに入り走り続けている。
トンネルの電灯が凄いスピードで後ろに流れていく。
「あと何分ぐらいでCHAO−POLICEに着くんだ?」
五分ほど前に木の実を三つ平らげたアスカナがお腹をさすりながら満足気な顔で聞いた。
「うーん・・・大体あと十分ぐらいで着くだろ。」
ユリカゲが駅で手に入れた路線図を見ながら答える。
ユリカゲ達が座っているのは向かい合わせの四人席で、アスカナとユリカゲ、シラウズとベニマルが隣同士だ。
窓際の席はアスカナとベニマルだが、ベニマルは今トイレに席を立っている。
「あ、そうだ。お前らこれ読んどけ。被り物団入団のときに必要になる。俺らはもう読んだからな。」
シラウズが鞄から二冊の本を取り出した。相当厚い。
二人がシラウズから本を受け取ると、読み始めた。
アスカナは駅の売店で買ったジュースを飲みながら読んでいる。
ユリカゲは一ページ目を開くと、パラパラパラー、とめくって、
「読んだ。」
と、一言。
「はあ!?ほんとに読んだのか?めくっただけじゃねーか!」
シラウズは信じられないようだ。
「はーっ。前より速くなったんじゃねえか?」
と感心したようにアスカナが言う。
それからシラウズに視線を向け挑戦的にこう続ける。
「シラウズ、信じられないんだったら、ユリカゲになんか訊いてみろよ。」
「お、おう。じゃ、十三ページ目読み上げろ。」
慌てながらもシラウズが問う。
「・・・第十章被り物団任務中及び本部または支部在住中の服装及び所持品について
団員は任務中及び本部または支部在住中は各団員に与えられたランクの被り物を被ることを義務付けられる。
(ランクと被り物については第十七項十六章参照)
装飾品・所持品についてはその団員が事前に本部に申請し任務及び本、支部内生活に必要であると本部が承認したもののみ許可する。
・・・・・・・・・・・・・・・(以下数十行続く)・・・・・・・・・・・・・・・
・・・とする。これ入団規定かなんかか?こんなもんでどうだ?」
ユリカゲは果てしない暗唱を終えた。
それを全て本で確認しながら聞いていたシラウズは口をあんぐりとあけたまま固まっていた。
「な?ユリカゲの特技は速読、瞬間暗記だぜ?」
何故かアスカナが自慢げにいう。
と、そこへベニマルがトイレから戻ってきた。
それと同時に列車内にアナウンスが響き渡る。
「お待たせいたしました。当車両は間もなくCHAO−POLICE本部に到着します。
降車の際はお忘れ物のないようにしっかりとご確認ください。
なお当車両はCHAO−POLICE本部を出発後再びセンロシティに向かって出発します。」
アナウンスが途切れると、列車が止まり四人は列車から降りた。
駅から出ると、目の前には超高層ビル群が立ち並んでいた。
ユリカゲが振り返り駅の看板を見ると、「ビジネスヒルズ」となっていた。
それを見たアスカナはユリカゲに耳打ちする。
「車内アナウンスじゃCHAO−POLICE本部って言ってたよなあ?」
「一般人が近づかないようにするためだろ。
シラウズたちがあの情報仕入れたのもあの洞窟でゴロツキ締め上げて聞いたってきいたぞ。」
「ほら、行くぞ。」
シラウズが先導し、あるビルの前まで来た。
「ここがCHAO−POLICEだ。被り物団は地下だぜ。」