第十一話 ~センロシティ~
森を抜けた四人は、センロシティという街に来ていた。
近代的な造りのビルが立ち並ぶ中で、大きな道のど真ん中に水路があった。
その水路の中には様々な船が行き来していた。
二人乗り用のゴンドラから豪勢に朱で彩られた屋台舟などたくさんの船で水路は埋め尽くされていた。
乗っているチャオも実に様々だ。
観光客のカップルらしきチャオ二人がゴンドラであちこちを指差しながら笑っている。
市場で買い物してきたのか、船の後ろに買い物袋をどっさり乗せたチャオが満足気に進んでいる。
屋台舟では、たくさんのチャオたちがどんちゃん騒ぎしている。
宴会を行っているらしい。皆頬が赤い。
「うお~~~~~っ!久々の街だ~~~~!ここなんて街?」
森を歩いてきた疲れなどないらしく、アスカナははしゃぎまくっている。
一方、五月蝿いのが嫌いなユリカゲは、この賑わいが気に食わないようだ。
ポヨをグルグルさせて不機嫌になっている。
「ここはセンロシティ。この街の中央エリアのある駅からCHAO−POLICEにいけるんだ。
さ、行くぞ。」
シラウズが先導する。
その次に上機嫌のアスカナ、それから平常心のベニマル、最後に騒いでるチャオにガンをつけながら歩いているユリカゲの順だ。
もともとの目つきの悪さもあってかユリカゲはすっかりチンピラみたいに見える。
四人は駅に到着した。シラウズが四人分の切符を買うと、自動券売機から音声が流れる。
「プツッ・・・この度はWCTチケットのご購入、誠に有難う御座います。
この券売機より左手に見えます、地下への階段を下り、地下五階の132番線に御搭乗ください。
・・・プツッ!」
淡々とした高いアナウンスが途切れた。
それぞれにチケットを渡し終えたシラウズは、階段に向かって身体を向ける。
「さて、行くか。」
階段を下りている途中で、やっと機嫌が直ったユリカゲが首を傾げる。
「あれ?センロシティのWCTの路線って130番線までしかなかったような・・・」
「ああ、それはCHAO−POLICEに一般人が近づかないようにするためなんだ。131番戦以降はCHAO−POLICEが特殊に製造しているものを機械に読み込ませないとチケットが発券されないんだ。
これには俺達が持ってる受験票も含まれてる。
ちなみに131番線はCHAO−POLICEクレナイ地方支部行きだ。
132番線が本部行き。」
ベニマルが言い終えたところで地下五階の表示が見えた。
「こっちだ・・・」
今度はベニマルが先頭を行く。
ベニマルが立ち止まった先は、壁だった。
「??」
ユリカゲとアスカナはそろってポヨを?マークにした。
「まあ見てろって。受験票をかざしながら入るんだ。」
言葉と同時にシラウズが受験票を壁に押し当てた。
すると壁が消え、もうひとつのプラットホームへと続く道が現れた。
「おお~~~~~っ!」
四人がベンチで座っていると、列車がやってきた。
ユリカゲ、シラウズと続いてアスカナが乗り込もうとしたとき、一匹のチャオが駆け込んできた。
「ぶっ!」
「うわっ!」
そのチャオとアスカナがぶつかり、二人は転んでしまった。
ぶつかってきたチャオはNRPだ。
右手には青い星印がある。
「いててて・・・・なんだよ、お前・・・・?」
「あいたたたた・・・す、スミマセン・・・不注意で・・」
「まあいいや・・・気をつけろよ。」
ベニマルが何事も無かった用に乗り込むと、ドアが閉まり、列車が発車した。