第八話~試練の始まり~
空間の亀裂から別の空間に出た二人は、宇宙空間のようなところに放り出された。遠くには星や銀河が輝いている。
「今度は宇宙かよ!?」
「そうらしいな。試練ってのは一体・・・」
ユリカゲがそう言いかけた途端、二人の両側にずおっとブラックホールが出来た。
「!?」
「うあわっ!なんだ!?」
二人は別々のブラックホールに吸い込まれていく。
「うわあああっ!」
「くそっ!アスカナ!」
ユリカゲはアスカナの方に手を伸ばしたが、わずかに届かず、
二人はブラックホームに吸い込まれてしまった。
・・・ブラックホールから出ると、ユリカゲは真っ暗闇にいた。
数メートル先すらまったく見えない。
すたっ。とさっきのダークチャオが現れた。
「よう。早速だが試練を始めさせてもらうぜ。」
「? 試練て何すんだよ、こんな暗いところで。」
「まあまあ、お前の試練は、こいつを倒すことだ。」
ダークチャオが手をかざすと、一匹のチャオが現れた。
身体の形からすると、ユリカゲと同じシャドウチャオのようだ。
だが、シャドウチャオ特有の赤いラインが無く、全身黒一色だった。
黒タマゴではない、もっと深みがかかった黒だ。
ユリカゲをまっすぐに見つめるその瞳は、その身体の色よりも
ずっと悲しく、ずっと寂しげだった。
「こいつを倒したら試練クリアー、となるわけだ。
それじゃ、スタート。」
ダークチャオはそういって、闇に溶け込んで消えた。
残されたダークチャオは、何も言わず構える。
ユリカゲも構えると二人は一斉に動き出した・・・
・・・アスカナは、ブラックホールから出ると、大空の中にいた。
雲がいくつも浮かんでいる。アスカナはなぜかそこに立っていた。
「宇宙のお次は空かよ・・・」
「や♪」
さっきのニュートラルチャオが現れた。
「うおっ。おまえ・・・」
「試練を開始するよ、クリア条件は無事に地面にたどり着くこと。
それじゃ、早速スタート♪」
ニュートラルチャオが手を叩くと、アスカナの視界から
ニュートラルチャオが消えた。
いや、アスカナが急降下をし始めたのである。
「うわあああああああああああああっ!!!???」
アスカナはものすごいスピードで落下していった。