第五話~洞窟脱出劇~

 4人は、いまだに洞窟の中をさまよっていた・・・

アスカナ:「はあ~、まだ出れねえのか。長いな~この洞窟。」

だいぶ疲れたのか、アスカナは大きくため息をついた。そういうのも、先ほどから洞窟の中を歩き回ってはいるものの、出口が見えるどころかさらに道が複雑になり、道幅もかなり狭くなってきているのである。

ユリカゲ:「そうだな、なんだか下り坂になってきてるし。」

シラウズ:「仕方ねえだろ。ここは昔からさっきの兄弟みてえな盗賊やゴロツキなんかの巣窟になっててああいうのに襲われるのはザラだし、おまけにそいつらが不用意に掘り進めるもんだから迷路みてえに複雑なんだ。盗賊の間でも洞窟の道筋を完璧に把握してるのは数えるほどしかいないって話だぜ。
こりゃ脱出するまで何日かかかるかも知れねえな。」

シラウズがあきれたように言う。

アスカナ:「ええ~~~っ?野宿かよぉ!やだなあ~」

と、そんなことを話してるうちに、大きな吹き抜けにでた。今までで一番広いようだ。さらに、中央には泉があり、こんこんと水が湧き出ている。そこから何ヶ所にも枝分かれした細い水路が伝っている。

ユリカゲ:「へええ~~~っ!枯れた水脈だと思ってたけどまだ枯れてないとこもあったんだなぁ。」

シラウズ:「ああ、ここは現存する数少ない水源のひとつだよ。昔はここも水の底だったんだぜ。」

アスカナ:「あれ?でもさっきあの兄弟が吹っ飛ばされたとこには激流が・・・」

ベニマル:「えっと、あそこの激流は、こことは違う水脈が伸びてんだ。うん。えっと、それから、ほかにもたくさんの水脈が絡まりあってて、その流れの水圧でいまでも洞窟の水量が頻繁に増減してるんだ。」

ベニマルが言い終わるがはやいか否か、四人の背後から ピシイィッ!! と大きな音がした。四人が恐る恐る振り返ると、壁に亀裂が入り、ところどころから水が飛び出している。

アスカナ:「こ、これってもしかして・・・」


  ドッボオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォン!!!


壁が破裂し、瓦礫と一緒に大量の水が噴き出した。

シラウズ:「逃ゲロ!!」

声と同時に、四人は一斉に走り出した。



   ・・・それから何分経ったか、迫りくる水流から命からがら逃げ切った四人は、息を切らしながら地面に突っ伏していた。



アスカナ:「ぜえ、はあ、はあ、ぜえ、チクショウ、どうなってんだ?この洞窟は。はあ、はあ・・」

シラウズ:「ふう、はあ、たぶん、お前らが上から入ってきて、洞窟内の、気圧が、変わったんだろう。壁が、だいぶ、もろくなってたぜ。ぜえ、ぜえ。」

ユリカゲ:「そ、それは、ともかく、出口を、探そう。」

さすがはハシリタイプというか、ユリカゲはほかの皆よりも疲れているようではなさそうだ。まあ、多少息が切れてはいるが。
そして、四人は出口捜索を再開した。




 ・・・数時間後、何とか脱出した四人は久しぶりに日光をあび、目をしばたかせていた。外は、もうすっかり夕暮れだった。

ユリカゲ:「きれいな夕日だなあ。ニシビタウンを思いだすよ。」

アスカナ:「ああ、そうだな。なつかしいなあ、ニシビタウン。」

二人がそんな話をしているとき。シラウズが声をかけた。

シラウズ:「オイ、お前ら。俺らが今泊まってるテントに来ないか?見せたいものがあるんだ。」

アス&ユリ:「?」

言われるがまま二人はシラウズとベニマルのあとについていった。


 ・・・こうして、四人の洞窟脱出劇は幕を閉じた・・・

このページについて
掲載号
週刊チャオ第270号
ページ番号
6 / 17
この作品について
タイトル
被り物団の仲間達
作者
トリップ(ユリカゲ)
初回掲載
週刊チャオ第267号
最終掲載
週刊チャオ第280号
連載期間
約3ヵ月2日