第三話 ~強盗兄弟登場!~
ひゅうううううううううううう・・・・・ぼてっ、
とアスカナは地面に落ちた。「ん?ここは・・・・」
そこは、暗い洞窟だった。アスカナが落ちてきた穴は上に伸びている。そして、アスカナが今いる地点から、無数の道が枝分かれして奥へ奥へと続いている。「あっ!」アスカナは何かを発見したようだ。それは、木の実だった。黄色く丸いその木の実は、何の変哲もないようだったが、ひとつだけ、ほかの木の実と決定的に違うところがあった。その木の実は、光っていたのである。それは洞窟の中のさまざまなところにあり、ライトのようになっていた。
アスカナはきょろきょろしながら、「まさか、これは・・・」とつぶやいた。そこへ、 ぴゅるるるるるるるるっ ぼてっ とユリカゲがおちてきた。「痛ててて・・・あ、アスカナ。大丈夫だったか?お前いきなり穴ん中に飛び込むんだからよぉ。」「ああ、そりゃ悪かったな。だってうまそうな木の実のにおいがしたからさ。」
そういってアスカナは木の実をぱくついている。
「うわっ!光ってる!」ユリカゲはポヨをビックリマークにして驚いている。それから、洞窟全体を見回してから、「ここは、かれた地下水脈だな。水の流れでその変な木の実が運ばれてきたんだろ。」といった。それを聞いてアスカナは、「へー、で、どうやってこっから出る?」と聞いた。「う~ん。ま、とりあえず進んでみるか。木の実もあるし、脱出はそれから考えりゃいい。」といったが、ユリカゲは少し不安そうだ。「よっしゃ分かった!じゃあ進むか!」ユリカゲと違ってアスカナは楽しそうだ。そして、道の中のひとつを選び、進んでいった。
・・・数分後・・・ひゅううううううううう・・・すたっ。森でアスカナとユリカゲのことを見ていたチャオが洞窟の中に入ってきた。ダークチャオのようだ。身体が黒い。「お~~い。アニキ~。いるのか~~?」チャオが叫ぶ。すると、岩陰からもう一匹、ダークチャオが現れた。「ちったぁ静かにできねえのか!やつ等に気付かれたらどうするつもりだ!」と「兄貴」と呼ばれたダークチャオが小声で怒鳴った。「・・ごめん・・・」弟らしきチャオが申し訳なさそうに言った。「ふう・・まあいい。やつ等はこっちに行ったぞ。早くおいかけよう。「あれ」を置いてある部屋にいかれたらやっかいだ。」そう言って、兄弟はユリカゲとアスカナの後をおっていった。
・・・ユリカゲとアスカナはあれから、広い空間に出ていた。
「うおっ!すげえっ!木も草も皆光ってるぜ!森の中よりあかるいんじゃねえか!?」アスカナははしゃいでいる。「目がチカチカするな。」ユリカゲはまばたきしている。「う~~ん。ここも出られそうなところはねえなあ。さっ。すすむぞ。」ユリカゲがそう言うと、二人は去っていった。そして、またもや広い空間に出ると、今度はさっきとちがい、暗かった。光る木の実が2,3個隅っこに置いてあるだけである。足元には冷たい水が溜まっている。二人が空間の真ん中ぐらいに来た途端、 バシャアアアッ! と後ろから水を誰かにかけられた。「ぶわあっ!」「つめてっ!」二人が振り返ると二人のダークチャオが立っていた。「誰だっ!」アスカナが叫ぶ。「だれだぁ?んなこたどうでもいい!とにかく、身ぐるみ全部置いてってもらうぜ!」兄が叫び、走り出すと、弟も突っ込んで来た。
「うおおっ、強盗かよっ!ユリカゲ!どうする?」アスカナが身構える。「ちっ!しゃあねえ!応戦だっ!」二人も兄弟に向かって走りだした。