エピソード №13
ハルミ「はぁ、はぁ、はぁ、た、助かりましたね・・・。」
カズマ「ゼェ、ゼェ、ご、ゴキブリは嫌いだなぁ・・・。」
エピソード №13 「チャオだけの町」
さて、どうなったかと言うと・・・車はガードレールを突っ切って転落する時、二人は車から飛び出して浜辺に落ち、車は海の中へと消えた。
ハルミ「車の運転は、やっぱり免許が無いとダメですね・・・。」
カズマ「それってすんごくムカツク・・・。」
ハルミ「・・・とりあえず、早くあの車を追いかけないと・・・。」
カズマ「追いかけるって?歩きでどれくらいあるかわからないこの道をか?」
ハルミ「・・・。」
さすがにハルミもこの発言の前には沈黙を振り翳すしかなかった。
カズマ「な、何か全然寝てなかったから眠いな、ぁ・・・。」
ハルミ「よ、よく眠れます・・ね・・・。」
そんな静かな会話をしながら二人は深い眠りについた・・・。
―・・・い・・・お・・おい・・・きてくれ・起きてくれよ・・・
ハルミ(う、う~ん・・・誰?)
「おい、アンタ!起きてくれよ!」
ハルミ「んん・・・誰ですか?」
「おっ!起きてくれたか!」
ハルミ「いや、誰ですか?」
トシ「俺か?俺はトシだ。」
ハルミ「トシさん・・・ですか。・・・あれ?」
トシ「ん?どうした?」
ハルミ「あの、一緒にいたソニックチャオがいないんですけど・・・。」
さすがにハルミも【人】と言う単語を使わなかった。まずチャオ相手に自分達が人だなんて言えないであろう。
トシ「あ~、あいつか。とっくのとうに起きてるよ。リビングにいる。」
ハルミ「あ、そうですか・・・。」
トシ「にしてもさぁ、あんた等を見つけた時にゃあおったまげたね。ボロボロになって浜辺で倒れてるんだもんな。」
ハルミ「倒れ・・・あ、そうですか。わざわざすいません。」
何か言おうとした口をすぐに引っ込めた。さすがに「倒れていたのではなく疲れて寝ていた」となんて言えないのである。
ハルミ「ところで、ココってどこですか?」
トシ「ココか?ココはな、チャオしかいない小さな町、チャオタウンって言うんだ。名前はまんまだけどな。」
ハルミ「チャオだけ?」
トシ「ああ。前にも人間がボチボチいたんだが、いなくなっちまったんだ。」
ハルミ「そうですか・・・。」
トシ「前に人間がいたおかげでこの町も他の人間がいる町と同じ便利さもちゃんとあるんだ。おかげさまで住民は少ねぇけどなっ!」
ハルミ(そんな事堂々と言うかなぁ?)
少し疑問を持ちながら考えてしまった。
トシ「・・・だったけどなぁ・・・。」
ハルミ「何ですか?」
トシ「あ?いやぁ、何でもねぇよ、気にしないでくれ。」
そう言い返された時、ハルミは顔をスッとトシの方に向かせて言った。
ハルミ「一度言いかけた事はしっかり言ってください。この町が怪しく思えちゃいます。」
トシ「おおっと、強情なお譲ちゃんだなぁ。」
ハルミ「お譲ちゃんって言わないでください!」
これが初対面の相手に対する発言だろうか。(それは相手も同じだが)
トシ「ハイハイ・・・人間とチャオがまだ一緒に暮らしてた時の方が平和だったけどなぁって言ったんだよ。」
ハルミ「・・・どう言う事ですか?」
トシ「この町がチャオしかいなくなったのはある事件がきっかけなんだ。」
ハルミ「事件・・・ですか?」
トシ「ああ。その事件ってのはなぁ・・・。」
ココからは、作者から説明しよう。
この町から人間がいなくなったのは、ついこの前の事なのだ。
チャオタウンから人間がいなくなった二、三日程前、二人の子供が行方不明になったニュースを聞かされた。
一人は男の子、もう一人は女の子。両方とも小学6年生。勿論チャオタウンの人間達は自分の子供にも被害が及ばないかと心配していたが・・・。
そして二日後。人間の子供は一人もいなくなってしまったのだ。それは丁度深夜の頃起こった事件だと推測された。そして目撃者を探していた警察は、驚く事に遭遇した。
何と、大人達が全員殺されていたのだ。証拠は愚か、指紋の一つも無く、犯人に関する情報の欠片も見つからなかった。
この事から、プロのグループによる犯行だと考えられた。
さて、ココである事に重点を置こう。二、三日前に行方不明になった二人の小学生だ。
お分かりだろうか。この二人は紛れも無く「倉見音 一真」と「東 光」、そう、カズマとヒカルなのだ!
ハルミ(つまり、その二、三日前、実験に成功した一味は、そのまま計画していた犯行をそのまま実行したとなる・・・!)
トシ「そう言えば、五年前にも一人の男の子が行方不明になったって聞いたなぁ。」
ハルミ「えっ?誰ですかそれ?」
トシ「えっとなぁ、確か・・・あ、そうそう、確か小学1年生の子だ。名前は確か、木更津 刃だ。」
ハルミ(木更津 刃、つまりヤイバさん!)
CONTINUE