第七話「恐怖の呼応」
目の前には瓦礫の山。
その中のチャオ一人しか入れない穴。
しかしノートパソコンが引っかかり、上手く通り抜けることが出来ない。
どうしたものか。
『ゥグルルルルルゥゥゥゥ・・・・・・』
こうしている間にもヴァークロスは唸りをあげて近づいてくる。
そんな時、ふと目を下に向けると、地下の非常通路へのハッチが。
とりあえず何も考えずに開けてみる。
地下で冷やされた冷たい風がウィリーシスの頬を撫でて抜けていった。
もしや、と思い、ウィリーシスは中を覗いてみた。
すると真っ暗な階段の下の通路に一筋の光が下りていた。
そう。別の場所も崩れて、そこから中へ入れるのだ。(非常通路は内側からは開かない構造の扉になっている)
ヴァークロスの足音はすぐそこまで迫っている。
選択肢は一つしか無い・・・いや、一つを選択せざるを得ないだろう。
ウィリーシスは非常通路へと入り、光の出ている場所まで走った。
が、そこへ辿り付いた時、絶望を感じた。
僅かにウィリーシスの身長ではそこへ登れないのだ。
手は届くが、登ることは到底無理だ。
足音はどんどん近づいてくる。
分かりやすいほど、足音の音量が刻一刻と上がっていく。
『とにかく逃げなければ』
そう思い、別の方向へ走ろうとする。
が
足が動かない。
全速力で走り続けた疲労と、束の間の安息感と、絶望感とが合わさって、遂に体に限界がきたのだろう。
だんだん体中痛くなってきて、指を僅かに動かすにも苦痛を伴う。
頭の中には悪い方向の考えばかり浮かぶ。脳が無理に浮かばせる。
心では解決策を探していて、脳では最期の瞬間はどの様なものかと考えている。
そして体は今の状況を否定している。
全てがバラバラ。これでは何をしても上手くいくはずがない。
ズ・・・ド・・・ゴゴォゴォォォ・・・・・・・・・ン・・・・・・
何かが崩れる音が通路内に響き渡った。
それに気付くが早いか、ヴァークロスが目の前にいるのを理解するのが早いかの状態だ。
これを底知れぬ恐怖というのだろうか。
いや、もう恐怖を感じている余裕も無い。
ゲームオーバーは目前に迫っている。
これを読んでいる君なら、どうするだろうか。