その2
<その2>
彼らが落ちた先にあったのは、何やら怪しい研究室のようなところ。
【クルセイド】「くっ・・・俺たちは飛べるからいいものを、飛島さんは!?」
・・・だが、彼女の姿はない。そこにいるのは自分とフィニット、それに・・・1匹のニュートラル・ヒコウチャオ。
【クルセイド】「あなたは・・・?」
すると次の瞬間、そのチャオが突然光に包まれる。光が収まったと思ったら、そこには飛島がいた。
【フィニット】「!?」
あっけにとられる2匹。目の前で、チャオが人間になったのだ。
【飛島】「・・・驚いた?
今のは『チャオナイズ』。簡単に言えば、人間が一時的にチャオになることができるのよ。」
【クルセイド】「そんな御伽噺[おとぎばなし]のような事・・・っ!」
すると飛島は、ゆっくり説明を始めた。
【飛島】「・・・これが、私たちの研究の成果。ここがSONICの本部よ。
表じゃSONICは「裏の仕事」をやってるって言われてるけど、実際は違うわ。
確かにSONICは実在する。でも、やっているのはこういう、最先端の研究がメイン。いわゆる裏の仕事も、あるにはあるけどね。」
【フィニット】「つまり、政府は秘密裏にチャオナイズの研究をしてるって訳か。」
【飛島】「ええ、そうね。
この星に住む2つの知能生命体・・・人間とチャオは、互いに利点を持っている。
人間はチャオに比べて体力があり、環境適応能力も高い。
一方チャオは人間に比べて小柄で狭いところにも行ける。何より、空を飛べるわね。
私たちは人間、そして≪チャオの構造≫を数年かかって研究して、とある方法でチャオナイズに成功したのよ。」
【クルセイド】「なるほどな・・・」
そこで、飛島は少し咳払いをして、
【飛島】「そして、本題。さっき、臨時ニュースが流れてたでしょ?」
【フィニット】「あの侵略者のやつか!?」
【クルセイド】「まだ侵略者って決まってないだろ!・・・隕石がこの星の近くに、ってあれですか?」
【飛島】「ええ。・・・でも私たちは、すでにあの隕石の正体を掴んでるの。
フィニット君が言う通り、あれは侵略者よ。」
【フィニット】「そら見ろ!俺の勘は正しい!」
【クルセイド】「勘というよりただの妄想だろ!」
【飛島】「その侵略者というのが、また変わっててね・・・こんな姿なのよ。」
と、飛島は近くにあったコンピュータのキーを押す。すると、画面に『侵略者』の姿が映し出された。
【2匹】「・・・・・。」
2匹はしばらく『それ』を見た後、顔を見合わせ、こう叫ぶ。
【2匹】「≪こんなのチャオじゃない!≫」
・・・『それ』は、チャオと似ていながら、チャオらしかなる凶悪な顔つきをした生き物。
【飛島】「私たちはこれを『ジャッゴ』と呼んでいるわ。」
【2匹】「ジャッゴ・・・」
【フィニット】「つまり、俺たちがこいつらをぶっ飛ばせばいいんだな!」
【クルセイド】「早合点しすぎだっ!」
【飛島】「思いっきり話を省略するとそうなるわね。」
【クルセイド】「そうなのかよ!・・・ツッコミに忙しいな・・・」
【飛島】「でも、チャオの君たちをそのまま戦わせるのには無理があるのは分かるでしょ?
そこで、君たちには『実験台』になって欲しいの。」
【クルセイド】「実験台・・・?」
【飛島】「私たちは、人間を一時的にチャオにするチャオナイズには成功したわ。
そして今研究しているのが、その逆、つまりチャオを一時的に人間にする、『ヒューマナイズ』。」
【フィニット】「それを俺たちに・・・!?」
【飛島】「ええ。理論とシュミレーションはほぼ完璧。後は臨床、つまり本物を使って確かめるだけなのよ。」
しばらく、部屋に沈黙が走る。
そして。
【フィニット】「っしゃあ、やってやるぜ!」
【クルセイド】「んな簡単に決めていいのかよ!?」
戸惑うクルセイド。だがフィニットは、
【フィニット】「こんな面白いこと、絶対無いぜ?」
とやる気満々。
【クルセイド】「分かった、付き合えばいいんだろ、付き合えば。」
渋々クルセイドも付き合うことに。
【飛島】「それじゃ、ついてきて。」
と、彼女は別の部屋に案内した。
<その3に続く>