その1
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この広い宇宙のどこかに、人間とチャオが平和に暮らしている星がある。
だが、その平和が、ある侵略者によって破られようとしていた・・・
キーワード小説『ジャッゴバスターズ』
この星では科学技術が非常に発達し、民は宇宙を飛び交う。
そして、この星の最大の都市・エターニアの大通りを歩くチャオが2匹。“フィニット”と“クルセイド”である。
【フィニット】「はぁ・・・≪世の中全部チャオになればいいのに≫なぁ・・・」
【クルセイド】「お前、どうしたんだよ・・・何かあったのか?」
【フィニット】「俺、最近になってやっと≪グラール生まれじゃなくてグラール育ち≫だって知ったんだ・・・」
【クルセイド】「いや、お前グラール育ちでもないから!」
【街頭テレビ】『年賀状はお早めに!25日までに出しましょう!』
街頭テレビでは、年賀状のCMが。
【フィニット】「そういえば年賀状出さなきゃな・・・年賀状といえば、今年の正月に俺のダチが出してきた年賀状が傑作でさ。
『≪あけましておめでとう≫、≪今年はホワイトクリスマス≫だといいね♪』って。早すぎだろ?」
【クルセイド】「いや、それ確かに面白いかも知れないけど、1年前の年賀状の内容覚えてるお前もお前だよ。」
【フィニット】「しかし、なんか面白ぇことないかな・・・?」
そこで、ふと2匹が街頭テレビを見上げると。
【アナウンサー】「≪只今の時刻をお知らせします≫・・・ちょっとお待ち下さい・・・?
臨時≪ニュースです。隕石が・・げほっ失礼しましたw≫
≪隕石が落ちて・・・来てない。≫」
何やら慌しいスタジオ、ミスを連発するアナウンサー。
【クルセイド】「≪何事だ!≫」
【アナウンサー】「改めて臨時ニュースです。この星から約1000km付近に、謎の隕石が接近、現在は停滞している模様です。
惑星政府は調査を進めると同時に・・・」
それを見て、思わず叫ぶフィニット。
【フィニット】「これだ!宇宙からの侵略者っ!俺はこれを待っていたんだっ!」
【クルセイド】「侵略者じゃねぇし!・・・今んトコただの隕石みてぇだし。」
だが、次の瞬間。
【アナウンサー】「続報です!隕石が予想外の動きをしました!
突然隕石が2つに割れ、中から数十センチの物体が多数放出、この星に向かっています!」
【フィニット】「ほら来た侵略者っ!」
【クルセイド】「だからまだ決めつけるには早いだろ!」
・・・しかし、さらに追い討ちをかけるように。
【警報音】「≪チャオガーデンに不審者侵入≫!繰り返す、チャオガーデンに・・・」
【フィニット】「いよっしゃぁっ!!」
【クルセイド】「喜ぶなーっ!」
・・・そこに、1人の人間の女性が近づいてきた。スーツを着てメガネをかけた、若い女性。
【女性】「君たち・・・なかなか面白いわね。」
【フィニット】「あざーす!」
【クルセイド】「俺たちはお笑いコンビじゃねぇっ!なんだその芸人風挨拶!」
【女性】「面白いってのはそういう意味じゃなくてね・・・私はこういう人間よ。」
と、2匹に名刺を手渡した。
【フィニット】「なになに・・・?」
【クルセイド】「『惑星政府直属特務機関{SONIC}主任・飛島裕子[とびしま・ゆうこ]』・・・?」
惑星政府直属特務機関{SONIC}。
簡単に言えば政府の「裏の仕事」を担当する秘密組織である。
かねてより存在は噂されていたが、政府は存在を否定。・・・だが、その主任と名乗る女性が、今目の前にいる。
【クルセイド】「・・・本物だという証拠は?」
【飛島】「そうね・・・」
すると彼女は携帯電話を取り出し、どこかに電話をかける。
【飛島】「もしもし、私。C−23地区にコードδを発動、お願いね。」
そして、電話を切った。
・・・数秒後、突然道路に穴が開き、飛島と2匹は落ちていった。
【フィニット】「≪お前何してんのぉぉぉ!!?≫」
という微妙な叫びを残して。
<その2へ続く>