第3話 ~偵察任務~

あらすじ

「リディア」と「ウェルナー」はコロニー隊の隊員として偵察任務を受けた。
任務に出かける前にウェルナーはニュースで、かつて彼が見た「謎のチャオ」が強盗事件を起こした事を知る。
「謎のチャオ」が何者かも知らずに二人は偵察に行く・・・・

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ドルス少佐と一緒にヘリコプターに乗せてもらい、トールマウンテン周辺に近づいた。
しばらく周ったあと、二人はトールマウンテンから少し離れた草村におろされた。
結構な高さの草がたくさん生えている。

「なんでこんなところにおろすんですか?
ここから山までは遠くないですけどこんな草むらのなかにおろしてくれなくても・・・」
「君たちをここにおろしたのは敵から見つかりにくくするためだ。」
迷わずドルス少佐が答える。

「それにしてもこんな・・・体が草に完全に埋まるなぁ。動き難いじゃないか」
リディアは草に完全に体が埋まるほどだった。でも、歩けなくはない。
「君たちに通信端末と剣を持たせておくよ。連絡にはこの通信端末を使ってくれ。」
「わかりました」
「それからもう一つ・・・」

ドルス少佐が声を詰まらせた。
「?」
「・・・・絶対に死ぬな。二人揃って帰ってこい。」
「え?」
「それから、無理をするな。危なくなったらすぐ逃げてくれ。」
「でも逃げるのにこの剣は邪魔なんじゃ?」
「自分の身くらい自分で守れ。何も山賊たちを殺せというのではない。
もしも襲われたときに抵抗する程度でいい。」
「・・・」
「さぁ、早く行け。私は仕事が残っているから先に失礼する。」

「・・・なんだかドルス少佐変じゃないですか?」
ウェルナーがそばにいたコロニー隊士官に質問する。
「ドルス少佐はあなたがたにとても期待をしていました。だから余計に死んでほしくないのでしょう。」
「そうですか・・・。」
「そろそろ行くぞ?時間が過ぎるだけだ」
リディアが待ちくたびれたように言う。

「じゃあ、行ってきます」
「くれぐれもお気をつけて。」

コロニー隊士官たちはヘリコプターに乗って行ってしまった。
次は通信端末で通信しなければヘリコプターは戻ってこない。
とりのこされたように草むらにぽつんと残った二人はトールマウンテンに向かって歩き始めた。

「それにしても・・・」
「ん?」
「綺麗な山だね。こんなところに本当に山賊はいるのかな。」
「いるからこの任務が来たんじゃないのか?」
リディアが笑いながら答える。どうやら余裕そうだ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第114号
ページ番号
3 / 10
この作品について
タイトル
~石の記憶~
作者
まさ
初回掲載
週刊チャオ第113号
最終掲載
週刊チャオ第117号
連載期間
約29日