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「だから、俺、両親ってどんな顔してるのか知らないんだ。」
ヒーターの前に陣取るかいろ君に、俺は今、あの話をしてやっている。
と、いうのも、戻ってきたかいろ君に「御主人について教えてほしい」などと言われたからだ。
「今の御主人は独身だし、拾ってもらったんだ、御主人には。」

俺がそこまで言い終えると、かいろ君は、体をくるりとこちらに向き変えて、笑顔で言った。
「つまり僕に、両親がどんな顔をしているのか調べてほしいんだ!了解!!」
「いやそんなわけじゃ・・・」
言い終わる前に、かいろ君は立ち上がって話を進めている。
「よしきた!恩返しのチャンスだ!簡単な方法が一つある!!!」
かいろ君の気合の前に、言い返す気力も失せてしまった。

彼はびしっとポーズを決めて、言い放つ。
「過去に戻るんだぁぁ!バックトゥザふゅうちゃあぁぁぁ!!!」
「はぁ?」
俺には、話のつながりが全く見えない。未来に行くの?過去に行くの?しかも何故?

かいろ君は、その短くて丸い腕をこちらに向けた。
「君が捨てられたという、二十年前の聖誕祭に戻れば、そこで君を捨てようとしている両親の姿を見られる!
 実は僕今、タイムマシンを持ってるんだ。ただし作動には、カオスエメラルドが必要だ。
 ドクターエッグマンがカオスエメラルドを持っているという、あるクチからの情報がある!それを盗み出せば、過去へいける!」

俺は数秒間、顎をつまんで考え、そして言った。
「複雑な方法を頼む。できれば安全第一で!」
しかし、オモチャオという人種は聞く耳を持たないらしい。
「うおぉぉぉぉ、悪の天才科学者の基地に潜入だぁっ!」



結局不覚にも、基地潜入は決定事項となってしまった。
でもこれでよかったのかもしれない。かいろ君に振り回されながら、気持ちが変わってきていた。
聖誕祭、もうこの言葉を気にする必要がなくなることを思えば。

俺たちの向かうエッグマンの基地は、ピラミッドにあるそうだ。
道中、かいろ君に聞いた。
「オモチャオってみんなタイムマシンを持っているものなのか?」
「そんなわけないだろ!」
「じゃあどうしておまえだけは・・・」
「ん~、まぁ、色々あってねぇ」
言葉を濁すかいろ君。

そしてかいろ君がエッグロボ1223人抜きという異業を達成し、いよいよカオスエメラルドの部屋にたどり着いたときには
もう夕方の午後4時。
かいろ君がタイムマシン(?)を取り出す。小さなチップだ。
「これをつかんだら、放さないこと!!」
俺はそれを、しっかりと握った。

こんなことを言って何だが、ここに来て少し不安になってきた。
だいたいタイムマシンというのもどうも怪しげだし、現代に帰るのにもう一度カオスエメラルドを探さなければならない。
しかしここまで来てしまったからには、背に腹は代えられないか・・・

そんな俺には構わず、かいろ君は、部屋の金庫から取り出したカオスエメラルドを頭上に掲げる。
そして、間髪を入れずに叫んだ。
「カオス・・・コントロオォォォォォル!!!!」

と同時に、俺の周りを桃色の光が包み込んだ。ふわっと、体から重力が抜けたような感覚になる。
そして・・・・・





体が痛い。時間移動から開放されると同時に、大きく投げ出されたようだ。手の中には熱くなったチップ。
本当に動いたのか、タイムマシン・・・
着いた場所は、コンテナ基地らしい。時刻は夕方。タイムマシンを発動させた時間と同じ、四時だろう。

改めて辺りを見回して、おおよその状況を察することができた。
なんだ、ここは昨日かいろ君を拾ったあの場所じゃないか。
景色は幾分違うものの、やっぱりどこか、似通ったところがある。
ポケットにチップをしまうと、俺は記憶を頼りに、駅を目指すことにした。

駅前もまるで違う場所だった。
そういえばミスティックルーインと、ステーションスクエアを結ぶ列車ができたのは割と最近。
列車に乗るためには、セントラルシティまで行かなければならないのだろう。
それと同時に、気付かされることがあった。
ステーションスクエアを飾る大型デパートやホテルなど、二十年後大都市になるという雰囲気が、影も形もない。
SSは新しい街だと聞いたことがあったが、こういうことだったのか。

御主人には、俺を拾ったのは市役所のところと聞いている。
そこで、俺はシティホールエリアへと向かった。
聖誕祭につき二十四時まで営業!の張り紙のついた書店がある。
ショーウィンドウには、聖誕祭特集の雑誌が並んでいる。

まだ小さな町だった時代、といっても、さすがの聖誕祭。町はにぎやかで、活気にあふれていた。
市役所も今日は休みだが、門は開いたまま。ちょっと入らせていただくとしよう。
目的はひとつ、捨て子の自分自身が今ここに、いるかいないかを確認すること。

・・・入念に探してみたのだが、何も見つからない。
まだ来ていないか、もう既に御主人が俺を連れて帰ってしまったか、どちらかか。
後者だったらまずい。ま、そのときはもう一度タイムマシンを使うこともできるか。
俺は、宝石店にカオスエメラルドが飾られているのを見て思った。

あれをちょっと手に取らせてもらうぐらい、きっとできるだろう。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第249号&チャオ生誕8周年記念号
ページ番号
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この作品について
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作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第249号&チャオ生誕8周年記念号