17 -He is a little useful-
それを見たエミーチャオ、戦車の裏側へと回ります。
「堅いものをやっつけるには、やっぱり内部からちゃお!」
しかし、そう簡単に、これだけの兵器の入り口が見つかられるはずはありません。
「じゃあ定番の、自分の武器で自滅させる戦法ちゃお!」
残念ながら、二連レーザー砲は戦車にしっかり据え付けられており、自身を狙うことは不可能なようです。
「くっそー、どうすればいいちゃお!」
そんなとき、何故かキバさんが飛び立ちました。
上空へと舞い上がり、戦闘機と戦っていたオニキスへと合流します。
キバさんとオニキスは、何か合意すると、最後まで残っていた一戦闘機へと向かっていきました。
戦闘機のコクピットを蹴破ります。
「く、キバさん、逃げるなんて卑怯ちゃお!」
「いや、ちがうみたい!」
まだ少し息切れの残る、クレープの声。
「キバさんは戦闘機もろとも、つっこむつもりなんだ!」
クレープの言葉通り、コクピットを蹴破ったキバさんとオニキスは、そのまま戦闘機に乗り込んで、操縦桿を握ります。
「エミーチャオ、早くそこから逃げろ!」
「で、でも!」
エミーチャオは、キバさんが不安で仕方がありません。
でも、ここはギャラクシーに従うほかなさそうです。
テイルスチャオは傍らで、再度銃口を戦車に向けています。
戦闘機がぶつかるタイミングで、もう一度撃つことで、大ダメージを狙っているようです。
逃げながら、エミーチャオは考えていました。自分にも、何かできることはないかと。
エミーチャオは戦車を振り返ります。そのとき、気付いたのです。
戦車の二連の砲口が、向かってくる戦闘機へと向こうとしていることに。
エミーチャオは、足の回転を加速させました。
ギャラクシーの所まで駆けつけると
「ごめんっ」
ギャラクシーの腕を掴んで、Uターンして、戦車に向かって駆け出します。
「え?え?」
訳の分からないギャラクシーを掴んだまま、エミーチャオは戦車の砲口に向かって、ギャラクシーを放り投げました。
息をのむクレープ。
歯を食いしばったエミーチャオ。
未だわけの分かっていないギャラクシー。
戦車の砲口が、一瞬光ったかと思うと、レーザーがそこから照射され出しました。
2本のレーザーが、ギャラクシーの目の前で1本にまとまり、そして、ギャラクシーの体が、
そのレーザーを、受け止めます。
そこに突っ込む、キバさんの戦闘機。
キバさんとオニキスは、ぶつかる手前で、コクピットから飛び降ります。
そして、撃たれるテイチャランチャー。
膨大なエネルギーが一点に合わさり、辺りは一瞬、ストロボのようにまぶしくなります。
「げほっ、げほっ」
がらくたと化した戦車の残骸から、1匹のチャオが立ち上がりました。
ギャラクシーです。
「あ、あれ?ギャラクシー、生きてたんだ。でもなんで?」
クレープの疑問に、答えるエミーチャオ。
「それはね・・・」
解説しよう!ギャラクシーはダークハシリのくせに、泳ぎの能力ばかり伸ばされて育てられた、変なチャオです。
チャオにおいて、泳ぎの能力と防御の能力は比例しています(from チャオカラテ)
だから、防御能力の異常に高いギャラクシーは、あのレーザーを浴びても、耐えきることが出来たのです。
「それはね、あのレーザーが実は見せかけだけで、大して威力のないものだったからちゃお」
「へぇー」
「おいっ」
デタラメな知識を教えるエミーチャオに、ツッコミを入れるギャラクシー。
そこに、キバさんとオニキスチャオが飛んできました。
2匹とも何故か、普通の姿に戻っています。
「あれ、どうしてふたりとも、元通りちゃお?」
そう言うエミーチャオ自身、元の姿に戻っています。
「見て!」
テイルスチャオが、上を指さしました。
見るとそこには、徐々に薄くなって消えていくUFOの姿が。
「UFOが消えたら、進化暴走も解けていくのか・・・」
つぶやくギャラクシー。
消えてゆくUFOの元で、キバさんは、クレープに黙って頭を下げました。
クレープはただ、ほほえみました。