16 -Catch The Psychology-
改めてキバさんを確認しようとしたそのとき、谷間から今度はビートルの群れが飛び出してきました。
そしてエミーチャオらに向かって、バルカン砲を乱射します。
エミーチャオ、そばの岩に隠れてやり過ごすものの、これでは中々思うように、タイプ判断に集中できません。
そのとき、どこからともなく、ビートル達を大きめな弾丸が貫き、ビートル達は破壊されます。
「えっ」
エミーチャオが見上げると、なんとそこにいたのは、またもやランチャーを担いだテイルスチャオ。
「援護班連れて来たよ!」
「さすがテイチャ!」
テイルスチャオの後から、いつかのオニキス進化暴走体が飛び出してきました。
夜空に飛び上がると、長い腕を戦闘機に向けて、チョップを放ちます。
真っ二つに切断され、落ちるブルーイーグル。思い切り派手なことをやっています。
なんだかよく分かりませんが、エミーチャオの味方のようです。
「なんかさ、そこのオニキス君は、クレープのファンらしいよ。
で、試しにカオスドライブキャプチャさせたら、エミーチャオみたいな意識を保った進化暴走体になったんだ。
だからいっしょに、やってきたんだよ」
テイルスチャオの説明に、うなずくエミーチャオ。
エミーチャオは、この時間稼ぎの間に、キバさんのタイプを調べます。
案の定、キバさんのタイプはチカラのようでした。
ただそのとき、エミーチャオは、確かに何か、キバさんの言葉を聞き取ったのです。
「クレープに合わせて欲しい」
しかし、このままでやられっぱなしでは、GUNの問屋が卸しません。
オニキス進化暴走体に、一次は気を取られたGUNでしたが、我に返ってエミーチャオにも攻撃を再開してきました。
飛びくるGUNの戦闘機に、ロボット、ガムホーク。
それに向かって、エミーチャオは、大きな拳を構えます。
そのとなりで、同じく戦闘の構えを取るキバさん。
「まさか、意識失ってないちゃおか?」
エミーチャオの言葉には、キバさんは無言です。
「やっぱり深層意識で、進化暴走体にはなりたくなかったちゃおよね」
エミーチャオはひとりでうなずくと、GUNロボ軍団に向き直ります。
そして、パンチ一撃、数台のロボットを一度に倒します。
その要領で、ほかのロボットも次々と打ち倒していきます。
一方のキバさんはロボット軍団の裏側へ回ります。
そして、そのそばの山肌に一蹴り。山肌は崩れて、その下にいたロボットらは、壊滅です。
その様子に、腕を突き出すエミーチャオ。
「あとはアタシに任せて」
といったものの、そこには既に、戦闘機が迫ってきています。
地上すれすれの飛行による風圧で、エミーチャオらを谷底に落とす作戦のようです。
エミーチャオはキバさんの手を掴むと、戦闘機のタイミングを見計らってジャンプ!
戦闘機の上を飛び越え、うまくいったと思ったが矢先、ギャラクシー側から悲鳴が届きました!
「エミーチャオっ!」
見るとギャラクシーの後方から、戦車がやってきています。その車体には、大きくGUNの文字。
主砲に二連の巨砲を搭載した、大型のものです。
ギャラクシーはクレープを背中に背負い、エミーチャオらの方に逃げようとしています。
「行くちゃおよ!」
エミーチャオは隣のキバさんに一声かけると、戦車に向かって駆け出します。ついていくキバさん。
エミーチャオは戦車の左側へ、キバさんは右へ。
2匹揃って、戦車のキャタピラに向かうと、強化された腕力を発揮!思い切りパンチします。
がつんと音を立てて、揺らぐ戦車の車体。
しかし、もっとダメージが効いていたのは、2匹の両腕でした。
「何これ、すごく堅いちゃお!」
「エミーチャオ!伏せて!」
エミーチャオの頭上から声がしたので見上げてみると、そこに飛んでいるのは、テイルスチャオ。
ランチャーの銃口を大きくこちらへ向けて、言い終わると同時に放ちました。
弾丸の狙いに間違いなく、それは、戦車の砲台へ確実に命中します。
しかし、弾丸は鈍い音を立てて、その装甲に軽くはじき返されました。
はじかれた弾丸は威力を失わず、そのまま少し離れた所の岩へと激突し、その岩をうがちます。
テイルスチャオは、開いた口がふさがりません。
戦車の二連巨砲が向きを変え、テイルスチャオを狙います。
あわてて飛び退く、テイルスチャオ。
二連巨砲から放たれた二本のレーザーは、螺旋状に混じって一本になり、テイルスチャオのすぐ横を通り抜けていきます。
その威力たるや、ただ者ではありません。