11 -Frozen Lake-

そして2匹はそのまま、山の上の方へと、飛んでいきます。
雪崩も飛び越え、まもなく、例の進化暴走体を発見しました。
山腹、氷の張った湖の上です。

「もう逃がさないちゃおよ!」
エミーチャオは上空で進化暴走体に向かうと、オニキスをまねた、急降下を仕掛けます。
進化暴走体もこちらの動きに気付いたようです。
近くにあった大きな岩を掴んで、思い切り投げてきました。
右に大きくよけるエミーチャオ。
地面すれすれで着地して、ギャラクシーをいったん地面に降ろします。

そして、相手の姿をまじまじと観察しました。
どうやら相手はオヨギタイプのように見えました。
頭の形が流線型のそれと似ています。
しかし、その頭部は異様に発達し、見るだけで恐ろしい感覚に襲われます。

エミーチャオは、相手の立つ、湖の上の氷面を蹴って、進化暴走体へと向かいます。
しかし、この氷が曲者でした。中々前へ進めません。
その間に、進化暴走体は地面の氷を割って、開いた穴に飛び込みます。
この氷の地面は、湖の表面が凍って出来たもの。だから中は、湖なのです。

それを見たエミーチャオ、負けじと氷を割って、湖の中へと飛び込みます。
ヒコウタイプ特有の長い羽を生かして、水中でも飛ぶようになめらかに泳ぎます。
進化暴走体は、湖の底へ、そしてその横穴へと泳いでいきます。
エミーチャオもそれを追いかけます。

しかし、水中ではやはり、オヨギタイプの方に分がありました。
相手の泳ぎはまさに、泳ぐ弾丸。対潜水艦用ミサイルの如き速さです。
徐々にエミーチャオは、引き離されていきます。

横穴を進んでいくと、その道筋は徐々に上に向かい、新たな別の、氷が張った池へとつながっていました。
進化暴走体はそれを割って、氷上へと復帰します。そして、その池の端の崖へと向かいます。
後に続くエミーチャオ。

エミーチャオが氷上に上がると、進化暴走体から氷の固まりが飛んできました。
見ると進化暴走体は、崖にあったつららを折っては、エミーチャオの方に投げつけています。
氷の上で、エミーチャオは、うまくよけることが出来ません。
転んでしまいます。

その隙に進化暴走体は崖の肌から氷上へ、そして水中へ戻ると、今度は氷の下からエミーチャオへすさまじい回転蹴りを繰り出します。
下から氷が蹴破られ、とがった氷のかけらが、エミーチャオに大きなダメージを与えます。
続けて2発、3発。
エミーチャオは最後に激しく崖に打ち付けられ、ぐったりと倒れてしまいました。
進化暴走体はそんなエミーチャオに向かって、ぐるぐると腕を回し始めます。
と、そのとき!

どこからかまた、つららが飛んできました。
進化暴走体が動きを止めます。見ればそれは、ギャラクシー。
ギャラクシーが、つららを投げていたのです。
進化暴走体のひるんだ隙に、エミーチャオは羽ばたいて飛び上がり、危機を脱します。

「エミーチャオ!あれを!」
ギャラクシーが指す何かを見ると、そこには野生の小動物、ペンギンがとことこと歩いています。
うなずくエミーチャオ。ペンギンに飛びより、


きゅぴーん!!


エミーチャオはオヨギタイプへと進化しました。
解説しよう。オヨギタイプとヒコウタイプは、共に相反する関係にあるのです。
数のプラスとマイナスのように。
紫のカオスドライブをキャプチャして、エミーチャオはさっきまで、−1の状態にありました。
ペンギンなどは、これに+2する効果があります。
だから+1へ。エミーチャオは、今度はオヨギタイプへと進化したのです!

湖に飛び込む進化暴走体、それを、オヨギタイプのエミーチャオは、追いかけます。
前来た道筋をたどって、元の湖へと戻ります。
湖のさらに深い所に進んでいく進化暴走体。
今度ばかりはスピードでは劣りません。しかし、相手も速いので、中々追いつくことが出来ません。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第269号
ページ番号
12 / 19
この作品について
タイトル
矛と盾の間で
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第269号