10 -Sorry, I Repeat-

ミスティックルーインは、未だ自然が多く残された土地です。
滝や川、風の洞窟、ログハウス風の駅などが、一帯にのどかに佇んでいます。

そんな中、エミーチャオたちは、ある一角で崖崩れが起こっているのを見つけました。
「これって、進化暴走体の仕業ちゃお・・?」
エミーチャオのつぶやく間に、ギャラクシーはその崩れた岩を上っています。

数メートル上った所で、エミーチャオに呼びかけるギャラクシー。
「奥に土を掘ってできた、洞窟みたいなのがある!」
「てことは、進化暴走体も、そっちに向かったちゃおか?」
「だろうな」
エミーチャオも、ギャラクシーのいる地点まで、崩れた岩を上ります。


その穴はまさしく洞窟でした。チャオが掘ったものとは思えないほどの大きさです。
圧倒されつつも、エミーチャオたちは、その奥へと足を踏み入れていきます。



「うう、寒いチャオねぇ」
エミーチャオが、体を縮めて寒がります。
それもそのはず、洞窟を100メートルほど進んだと思われるところで、2匹は巨大な氷の壁を発見しました。
真ん中には、大きく割れた穴。

「進化暴走体は、こっちに向かったんだろうな」
ギャラクシーがそう言って、穴を飛び越え、奥に続く、氷の洞窟を進みます。
エミーチャオも後に続きます。



いつの間にか、2匹は雪山へと、たどり着いていました。
気温はかなり低く、空からは、雪が無数に降ってきます。
巨大な、雪で覆われた斜面に、うっすらと、進化暴走体のものらしき足跡がついています。
山の上の方へと向かって。
それを辿り、えっちらおっちら、上る2匹。

上りながら、エミーチャオがつぶやきます。
「ひょっとして・・・」
「ん?なにか?」
「こういう斜面って、そう、ステーションスクエアの時と同じパターンになるんじゃないちゃおか?」
「同じパターンって、何のことだよ」
「斜面の上の方から、雪崩みたいに・・・」

ずごーん!!
エミーチャオの言葉が途切れると同時に、上の方から、何かとてつもなく大きな音が聞こえました。
続いて、地響きの如き音が、どんどんと迫ってきます。

「ほらやっぱり!」
「なぜ分かったんだ!」
「この辺で、作者の展開力の限界が見え始める頃だと思ったちゃお!」

2匹はあせりつつも、どこか、隠れられる所がないか探します。

「あっ、あそこちゃお!」
エミーチャオの指す方向に、大きな岩がありました。
駆け寄って、その影に身を潜めます。

岩をさわって確かめるギャラクシー。
「この岩、大丈夫なんだろうな・・・」

次第に音が近づいてきます。めしゃりめしゃりと、木のなぎ倒される音も聞こえ始めました。
岩の影で、身を寄せ合う2匹。心臓が高鳴ります。
どんどん雪崩が近づいてくる様子が、音によって、手に取るように分かります。
あと数秒、そして・・・

音が最大限の大きくなった所で、2匹の両脇、岩を挟んで両側を、雪が猛スピードで通り抜けていきました。
落ちていく雪には、限りが見えません。
そのうちに、ギャラクシーは何か背中に圧迫感を覚えました。
気になってギャラクシーが後を振り向いたそのとき!

隠れていた岩が、吹っ飛びました!!
とっさにエミーチャオの手を掴むギャラクシー!
2匹の目の前に、雪崩が迫ります。
雪崩に押しつぶされんかというそのとき、ギャラクシーがつぶやきます。
「SSの時と同じで、飛んで回避すればよかった・・・」

きゅぴーん!!

エミーチャオが、持っていたカオスドライブをキャプチャ!タイプはヒコウ!
ギャラクシーの手を掴んだまま、雪崩を突き破って飛び上がります。
「おまえ、気付くの遅すぎちゃお!」
「いや、そっちも同じじゃないか!!」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第269号
ページ番号
11 / 19
この作品について
タイトル
矛と盾の間で
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第269号