09 -An Yellow Foreboding-
電源を入れて、ニュース番組にチャンネルを合わせると、
ミスティックルーインの駅で、今度は黄色の進化暴走体が電車を破壊している様子が、克明に映し出されています。
そのポヨはやはり、黒。
「今度はミスティックルーインか・・・」
「今度の進化暴走体は、あたしを狙ってるわけじゃないちゃおね。黄色のは初めて見るちゃお」
エミーチャオは、感想を漏らします。
クレープが口を挟みます。
「ねぇねえ、でも、何でこいつらみんな、破壊衝動を持ってるの?」
「あたし、何となく分かるちゃおよ」
うなずくエミーチャオに、クレープはポヨで疑問を示します。
「なんというか、カオスドライブを握っている間は、パワーがわいてくるちゃお。実際、すごい力が出せるし・・」
「へぇー」
そこで、エミーチャオは、前々から思っていた疑問を口にします。
「でも、あたしがビームを浴びた時は、カオスドライブを手にしないと、変化がなかったちゃお。
なのにどうして、奴らは初めから、カオスドライブをたくさんキャプチャしたような状態になってるちゃお?」
それに答えたのは、ギャラクシーでした。
「可能性として一番高いのは、エミーチャオがカオスチャオだということなんじゃないかと思う。
ほら、カオスチャオって、ノーマルタイプの突然変異だろ?
元々タイプに偏りの少ないチャオたちは、『進化暴走』が起こりにくいんじゃないだろうか」
エミーチャオはしばらく思い詰めた顔をしていましたが、突然ハッと顔を上げました。
「ミスティックルーインで黄色って、もしかしたら・・・!!」
立ち上がるエミーチャオに、きょとんとした2匹。
エミーチャオが、早口で伝えます。
「あたしの知り合いに、心当たりがあるちゃお」
それを聞いて、ギャラクシーも立ち上がりました。
「急ごう!」
ステーションスクエアの大通りを走って、エミーチャオたちは、駅前ホテルのチャオガーデンに到着します。
エレベータの扉が開き、エミーチャオは友達への挨拶も抜きに、ミスティックルーイン行きのワープホールへ。
飛び込もうとした矢先に、ギャラクシーが足を止めました。
「カオスドライブは!?」
急停止するエミーチャオ。
「おっと、忘れる所だったちゃお」
エミーチャオは、近くに浮いていた紫のカオスドライブを一つ、手に取ります。
「ちょっと、借りるちゃおよ!」
そう言い残して、ワープホールに入る2匹。
数秒後、2匹はミスティックルーインのチャオガーデンに到着します。
「いるちゃおか!?」
辺りを見回すエミーチャオ。
その黄色い友達は、まだガーデンにいました。
ほっと胸をなで下ろすエミーチャオ。
「ああ、エミチャオかぁ」
黄色い友達も、気付いてこちらに駆け寄ってきます。
その友達というのは、そう、テイルスチャオです。
ギャラクシーが、口をとがらせます。
「俺がカオス系は大丈夫だろうって話をしてやったのに・・・」
「ギャラクシーの当てずっぽうなんて、信用できないちゃおもんね」
それを聞いて、つまらなさそうな顔になるギャラクシー。
駆け寄ってきたテイルスチャオが、エミーチャオに話しかけます。
「なにか用?えと、あと、このチャオは?」
そういってギャラクシーを指す、テイルスチャオ。
「ああ、このチャオは、ギャラクシーっていって、まあ、なんというか・・・
・・・知り合い以上、友達未満な関係ちゃお。用事っていっても、あー、あれなんちゃおけど・・・」
意味深な表情で、話を聞くテイルスチャオ。
エミーチャオが空を手で指します。
「あたし達は今、あの今話題のUFOを追ってるちゃおよね」
「へえー、エミーチャオらしいや」
物珍しげな様子のテイルスチャオ。
「で、ボクに何かできることがあるの?」
うなずくエミーチャオ。
「さっきニュースで黄色い進化暴走体のことを見たちゃお。あのチャオについて、何か知らない?」
テイルスチャオは、しばらく考えてから、口を開きます。
「なるほど、エミーチャオは、ボクがあの進化暴走体だと思って、ここに駆けつけたのか・・・」
ぎくりとするエミーチャオ。
思えばテイルスチャオは、いつもこんな風に、どこかスルドイ所があります。
と、テイルスチャオは、顔を笑顔に戻しました。
「あのチャオについては、何もしらないなぁ。
でも、出来る限りでいいのなら、協力するよ」
続くテイルスチャオの言葉に、胸をなで下ろすエミーチャオ。
「じゃあ、早速、進化暴走体の方へ、向かおうか」
ギャラクシーの言葉に、エミーチャオはうなずきます。
「ありがと、またくるから」
エミーチャオは手を振って、ガーデンの出口へと向かいました。