08 -Why Did You Attack Me?-

エミーチャオは、さっきほどのビートルの残骸の中から、黄色のカオスドライブだけを探し、
それを手当たり次第に、さっき進化暴走体が壊したビルに向かって投げ込みます。
「これでどうちゃおっ!?」

ビルの中から、一つ影が見えました。
見ればそれは、何も変わっていない進化暴走体。
「ダメじゃないちゃおか・・・」
「ごめん、ただのおもいつきだった」


今度は進化暴走体の方が、攻撃を仕掛けてきます。
猛スピードで空を切り、エミーチャオに向かって突進!
足のスピードでかわす、エミーチャオ。

進化暴走体はそのまま上に飛び上がると、今度は螺旋状に曲線を描きながらやってきます。
これではどこを狙っているのか分からず、かわすことが難しくなります。
しかし、エミーチャオの方が一枚上手でした。
動きを合わせて自分も広場を回ります。
そして、攻撃がくると思ったその瞬間!ジャンプで進化暴走体の頭に飛び乗りました。
足で頭を押さえ込み、その頭を、両手で交互に殴りつけます。
数発で、地面に墜落する進化暴走体、どうやら気絶したようです。


エミーチャオは、ふと浮かんだアイデアとともに、先ほどのビルの穴へと向かいます。
見ればそこには、たくさんの黄色のカオスドライブがごろごろ転がっています。
「きっとあいつ、わざとキャプチャしなかったちゃお」

エミーチャオは、赤のカオスドライブで元の姿に戻ると、
黄色のカオスドライブを一つずつ、気絶した進化暴走体にキャプチャさせてやります。
進化暴走体が元のチャオに戻るまで、結構な時間がかかりました。

気絶したままの元進化暴走体に、近づいていくギャラクシー。
「こいつ、一体いくつ紫のカオスドライブをキャプチャしたんだ・・・」
「自分の意識を失うぐらい、すごくたくさんちゃおね・・・」
「でも、なんの理由があって、エミーチャオを狙ってたんだ?意識を失ってもって・・・」
「そうちゃおねぇ。起きたら直接、聞きだしてやるちゃお!」



結局、例の進化暴走体は、元はオニキスのヒコウチャオでした。
エミーチャオとギャラクシーは、ほかのGUN兵士らに感づかれないよう、そのチャオを背負って市街を出て、
そして、エミーチャオらと3匹で、いつものラーメン屋へと向かうことにしました。

「いただきますー」
醤油ラーメンを前に、箸を割るエミーチャオ。
その向かい側の席で、どこか落ち着かない様子の元進化暴走体。

エミーチャオがずるずると長い一口を食べきってから、その進化暴走体に、唐突に質問を投げかけます。
「で、あたしを襲った目的はなんだったちゃおか?」
「そんな、目的なんて・・・俺は失神していたわけで・・・」
しどろもどろになる元進化暴走体、オニキスチャオ。

ギャラクシーが横槍を入れます。
「だとしても、無意識はお前の深層心理につながっていると考えるのが自然だろ」
言われてうつむく、オニキスチャオ。

オニキスはしばらく考えてから、辺りを見回すと、立ち上がって、店の出入り口の方へ、手招きし始めました。
「ちょっと・・・外ではダメ・・・?」



「あっはははははは!」
「ひいひいひいい」
「それ、おかしすぎる!きゃはははは」

お昼時は回って、客も帰ってしまった店内で、2匹の笑い声が響きます。
もちろん、エミーチャオとギャラクシーです。
そんな2匹の様子を、不思議そうに眺めているクレープ。
オニキスチャオは、帰ってしまいました。

「どんなおもしろいことがあったの?」
クレープがさっきからしきりに訪ねますが、それに対して2匹は
「いえいえ、なんでもありません」
激しく手を横に振っては、腹を抱えて笑い続けます。

仲間はずれにされた感じで、一人頬をふくらますクレープ。

実は、オニキスチャオが語った動機というのが、
「クレープのことが前々から気になっていたので、その周りで仲良くしているチャオたちが憎かった」
というものだったのです。
そういうわけで、さっきからギャラクシーたちは、あんなにも爆笑していたのです。



笑いがようやく収まった所で、ギャラクシーはひとまず、次の話題を示します。
「それじゃ、もう1匹の、進化暴走体を探そうか」
すかさず、カウンターの奥からテレビを取り出すクレープ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第269号
ページ番号
9 / 19
この作品について
タイトル
矛と盾の間で
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第269号