07 -New One Born-

そのとき、不思議なことが起こりました。

上空に浮かんでいたUFOから、不意に紫色の光が、降り注いだのです。エミーチャオへ向かって。
倒れたエミーチャオのお腹の辺りに、光線が差し込みます。
その光線を食らったエミーチャオの全身が、激しく紫の光を発します。

辺り一帯が紫の光を帯びる中、進化暴走体に向かって、またもや、どこからか銃弾が飛んできました。
飛び上がって回避する進化暴走体。近くのビルの壁に張り付きます。

銃声の方向を見ると、そこにいたのはギャラクシーと、たくさんのGUNロボガンハンター。
「援軍を呼んできたぞ!エミーチャオ!」
しかし、その紫の光を見たギャラクシーは、はっとした顔に。
「まさか、あれは進化暴走体を生み出す例のビーム!?」

同時に、UFOのビームが止みました。
ギャラクシーは、エミーチャオの様子を、遠目からじっくりと観察します。
見た目がほかの進化暴走体のように、異様に変形したようには見えません。
エミーチャオは、自分の体をきょろきょろと見回し、ギャラクシーの方を見て、呼びかけます。
「なんともないみたいちゃおよ~」
それを聞いて、ひとまず安堵の表情を見せるギャラクシー。

しかし、進化暴走体は、その隙を見逃しませんでした。
ビルの上からエミーチャオに向かって、またもや急降下を仕掛けます。
それに気付いたエミーチャオ、壊れた噴水のそばまでダッシュし、噴水の破片を掴んで進化暴走体に投げつけます。
が、そんな抵抗も無意味でした。
真上からの風圧に、エミーチャオはまた思いっきり吹き飛ばされてしまいます。

ものすごいスピード共に着地した進化暴走体に、ガンハンターから何発もの銃弾が打ち放たれます。
が、再び空中に舞い上がる進化暴走体のスピードに、まるで歯が立ちません。

吹き飛ばされたエミーチャオは、自分の周りを見て考えていました。
そこには、無数のカオスドライブ、さっきのビートルが落としていったものがあります。
エミーチャオはその一つ、緑のカオスドライブを手に取りました。

きゅぴーん!!



光に包まれると共に、エミーチャオの体に異変が起こりました。
エミーチャオは、本来なら進化の起こらないはずのカオス体。
しかし、足が妙にとがってきます。後頭部には、三本のとげが三角に並びます。

「エミーチャオ!!」
気付いたギャラクシーがエミーチャオに呼びかけます。
それには答えず、エミーチャオは、右手を肩に、左手を手前に、ポーズを決めます。
「俺!参上!」
「違うだろ!!」
叫ぶギャラクシーに、エミーチャオはもう一度自分を見回してから、答えます。
「んー、妙なことになったけど、意識は残ってるから、大丈夫だと思うちゃおけど・・・」

と、そこに進化暴走体が迫ってきました。
ダッシュで逃げるエミーチャオ・・・ダッシュ?
なんとそのダッシュは、エミーチャオ自身驚くほどの速さ。
一気に近くのビルを駆け上がると、既に屋上です。

驚いて見上げる、ギャラクシー。
頭をかくエミーチャオ。
「いやあ、なんか、超音速のヒーローになった気分ちゃおねぇ」
そうって、今度は一気に、ビルを駆け下ります。
そしてそのスピードのまま、進化暴走体にキックをかまします。
吹き飛んだ勢いでビルを打ち砕く進化暴走体。

それを見ていたギャラクシーが、ぽんと手を打ちます。
「エミーチャオ!その進化暴走体、ヒコウタイプじゃないか!?
 エミーチャオはきっと今、ハシリタイプなんだ!」
確かに、エミーチャオの姿は、ハシリタイプそのもの。
進化暴走体も、すごいスピードで空を飛んだりしていました。

「でも、それがどうかしたちゃおか?」
「進化暴走体に、黄色のカオスドライブをキャプチャさせるんだ!相殺して元のチャオに戻せるかも!」
「なるほど!やってみるちゃお!」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第269号
ページ番号
8 / 19
この作品について
タイトル
矛と盾の間で
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第269号