06 -Without Limit-
翌朝、浦川さんとギャラクシー、エミーチャオは、ニュースの確認をします。
「進化暴走体の黒幕は、UFO。UFOを追えば、何か手がかりがつかめるはずだ」
浦川さんは、そう説明しました。
報道によると、UFOが飛んでいったのは、市街地方面。
「じゃ、出かけようか、エミーチャオ」
ギャラクシーが元気よく宣言します。
「出かけるって、市街地へ?」
「そういうこと」
途端に、不満げな表情になるエミーチャオ。
「えー、またあのしんかぼーそーにおそわれるのは、勘弁して欲しいちゃお~」
「大丈夫だって、昼間は人が多いから、エミーチャオだけがねらわれる危険は少ないだろ」
「そうは言うちゃおけどねぇ、あたしなんだか、すごくあいつらにねらわれてる気がするちゃおよ」
エミーチャオは駅前での出来事を話します。
「気のせいだって!」
エミーチャオの手を引いて、連れ出そうとするギャラクシー。
しかし、チカラの差で敗れます。
「あれ、浦川さんは一緒に行かないちゃおか?」
エミーチャオの疑問に、答える浦川さん。
「私には仕事があるので、ついていくことは出来ない。ただ、家の鍵は
ギャラクシーに渡してあるので、いつでもここへ来てもらって構わない。夜以降はいるから」
うなずくエミーチャオ。
「どうでもいいけど、ギャラクシーは何でこんなにスキルがないちゃおか?」
浦川さんは、苦笑します。
「飼い主が進化後、オヨギの小動物ばかりを、たっぷり与えたんだ」
「なるほどね」
エミーは納得すると、ギャラクシーの手を引っ張ります。
「それじゃ、でかけるちゃおか」
高層ビルの建ち並ぶ、ステーションスクエアの中心市街。天気はくもり。
その灰色の空に浮かんだ黒いUFOに向かって、GUNのヘリコプターがぱらぱらと飛んでいきます。
周囲の住民は、GUNの指示で、既に避難したあとのようでした。
エミーチャオとギャラクシーは、市街の前に立ちました。
しかし、市街内部にはGUNの兵士がうろついていて、うかつに近づけそうにありません。
「どうするちゃお?」
「大丈夫、ちょっと待っていれば」
よく分からない理屈を言うギャラクシー。
と、そのとき。
ビルの屋上に、何者かの小さな影が見えました。
続いて「いたぞー!」の兵士の声も。
一瞬、黒いポヨも見えた気がします。
「あいつ、進化暴走体ちゃお!?」
「今だ、行こう!」
ギャラクシーのせりふと共に、2匹はビルの間へと駆け込みます。
市街に入ってすぐに、辺りが暗くなりました。UFOの影に入ったのです。
と、その瞬間不意に、右手のビルのガラスが砕けました!
「危ない!!」
降り注ぐガラスから、地を蹴って逃げる2匹。別のビルの隙間の路地へ。
ある程度入った所で、振り向くと、先ほどのビルはゆっくりと、崩れ落ちていきます。
ビルの崩壊を目の前に、2匹はただ、かたずをのんで見守ります。
がれきの山の中から、またしても、小さな黒い影が見えました。進化暴走体です。
まっすぐエミーチャオらの方向に向かってきます。
あわててまた、路地の奥へと駆け出す2匹。
「ほら!やっぱりねらわれてるちゃお!」
「一体なぜ!?」
ビルの隙間を抜け出た先は、T字路です。
「2手に分かれるちゃお!」
そう言って、エミーチャオは左へ、ギャラクシーは右へ。
分かれてから、エミーチャオは気が付きました。
「あれ、盾がなくなった?」
エミーチャオの逃げた方向には、広場と噴水があります。
噴水の陰に隠れるエミーチャオ。
進化暴走体は、エミーチャオを追ってやってきました。
エミーチャオを探すように、辺りをきょろきょろと見回し、噴水に目をとめます。
腕を振り上げて、噴水を木端微塵にする進化暴走体。吹き出す大量の水。
エミーチャオの居所は、一瞬にして明らかになってしまいます。
が、そのとき、エミーチャオの後の方から、たくさんのロボットが飛んできました。
GUNのビートルです。ソニックXじゃない方です。
バルカン砲を乱射して、エミーチャオを援護してくれます。
たじろぐ進化暴走体。
ビートルの影から一人の兵士が飛び出してきました。
エミーチャオを抱えます。
「え?あんた、誰ちゃお?」
「ある時は片目の運転手・・・」
「もうオマエの出番はもう終わったちゃお!!」
が、このロボットたちにも、進化暴走体は動じません。
進化暴走体は、ものすごい勢いで上へ飛び上がると、一気にビートル集団へ急降下。
たくさんいたビートルは、あっけなく破壊されてしまいます。
エミーチャオを抱えた兵士、逃げだそうとしますが、進化暴走体の動きの方が先でした。
低空飛行で2人に接近し、そのままパンチを繰り出します。
兵士がうしろにのけぞるように倒れることで、何とかこの攻撃を回避。
エミーチャオは、兵士の腕の間から抜け出して、さらに逃げようとします。
しかし、進化暴走体のスピードには敵いませんでした。
続いて進化暴走体が放つ、回し蹴り。エミーチャオの背を、確実に捕らえます。
非情なまでの痛みが、エミーチャオを襲います。軽く数メートル、吹っ飛ぶエミーチャオ。
エミーチャオは、仰向けに倒れ込みました。
上空に浮かんだ、UFOが、この世の終わりを象徴しているかのようにさえ、感じます。
そのとき、不思議なことが起こりました。