03 -Frisbee-
「う、うーん」
大きくのびをするエミーチャオ。
起きてみるとそこは、先ほどのラーメン屋の店内でした。
外の様子を見ると、辺りは真っ暗。
客がひとりもいないので、閉店したあとなのだと、エミーチャオは解釈しました。
そしてエミーチャオは目つきを鋭く、辺りを見回します。
「あの、あたしを押しとばした奴はどこちゃおー!!!」
「あ、エミーチャオ、起きたのね」
エミーチャオの大声に、出てきたのは、クレープ。
そのうしろに続いて、黒いチャオがのそのそと姿をあらわします。
ポヨをびっくりマークにして、驚くエミーチャオ。その目がかなり、怖いです。
それを見て、びくんと体を震わせる黒チャオ。手を激しく横に振ります。
「いや、なにかの誤解だ!」
「問答無用ちゃお!!」
そう叫んで、黒いチャオに飛びかかるエミーチャオ。
「わーい、けんかだけんかだー」
クレープののんきな声。
こんな夜更けに、どしんばたんと賑やかな音が響きます。
しかし、それもそう長くは続きませんでした。
「あ、キバさん、どうかしたちゃおか?」
この店で一番エラい料理人、キバさんの登場です。
動きが止まる、エミーチャオと黒いチャオ。
口を開くキバさん。
「仕事の、じゃまなんだが・・・」
「すみませんでしたー!」
口を揃えて謝る、2匹。
キバさんはテーブルに、ラーメンを2つ置くと、そのまま黙って調理室へと帰っていきます。
黒いチャオはそれを見送ると、黙ってラーメンを置かれたテーブルの前の席に着き、こう切り出しました。
「エミーチャオ、あれにはわけがあるんだ」
黒いチャオは、ギャラクシーと名乗りました。
あと、彼は黒チャオじゃなくて、ピュアのダークハシリだそうです。
「昼間は強引なことをしてすまなかった。で、話というのは・・・」
クレープの方を見やるギャラクシー。クレープはいつの間にか、テレビを持ってきています。
テレビをつけて、そこに映し出されるのは、
「え・・・UFO?」
そこに映し出されたのは、間違いなく、いつものよくあるニュース番組。
しかし、その映像の光景は非日常を極めています。
白昼の空に浮かぶ、真っ黒な円盤でした。
「UFOの直径は、約500メートル、厚さは1メートル未満、ほぼ完全な円形で、地上800メートル付近を、ゆっくりと漂っています」
ニュースキャスターの解説による大きさからも、その非日常性が伝わります。
「深刻なのは・・・」
ギャラクシーが腕を組みます。
「この円盤の出すビームが、チャオたちをどこか狂わせてしまうということだ。
俺たちは仮に進化暴走体と呼んでいるが、ビームを浴びた彼らは、驚異的能力と、破壊衝動を持っている」
「え・・・それってもしかして、あれのことちゃお?」
エミーチャオは今朝見た光景を話します。黒いポヨのチャオのこと。
「あれ?まさか目にしていたとは、奇遇だなあ」
ギャラクシーはうなずきました。
「といっても、今日までに確認された進化暴走体は、まだ2匹しかない。
そこで、ここからが大事な話なんだけど、その件でもう一人、会ってもらいたい人がいるんだ」
「ふーん」
そこで、エミーチャオはちょっと考えた所で、
「あれ、でもそんなことになっているなら、GUNがでれば一発だと思うちゃおに」
と、疑問を口にします。
「ニュースを見れば分かる」
ギャラクシーの言葉を受けて、もう一度テレビを見る、エミーチャオ。
ニュースでは、GUNが進化暴走体に戦闘の姿勢を取っているものの、
まったく効果が出ていないことを説明していました。
「と、いうわけで、来てもらえるかい?」
「それぐらいなら、お安い御用ちゃおけど・・・」
エミーチャオはテーブルの上を示します。
「ラーメン食べてからね」