特別編 ~記憶の輪舞曲 3~
何も考えていない。俺はただ、殺戮を繰り返していただけだった。
~記憶の輪舞曲 「悲しみの殺戮」~
フット「・・・暗い所だな。」
俺は、今思い出すと忌わしい「殺戮」を繰り返していた、通称「殺戮殺シアム」なる場所にいた。
思い出したくも無い記憶だ。俺は幼くも殺戮という悲劇を繰り返し、その血を隠しながら生きていた。
殺してきた数は計り知れない。自分でも数えた事は無い。おそらく星の数ほどだろう。
現在の位置は・・・何も無いビルの3階。そこから窓の下を除いた。
自分がいる。そして幼い女子のチャオがいる。殺気はあるが、殺す気は無いらしい。
誰と話をしているのだろうか?
「・・・こういう所は、見つかりにくいから、隠れるなどにいい。早く行け、追ってくる奴が来るぞ。」
その話相手は何も言わずその場を去り、裏道の奥へ行った。
「・・・追うなら今だ。見つからなくなるぞ?」
「え・・・。」
「早く行け。」
「は、はい、どうも・・・。」
リム・・・!?
「・・・・・・・・・・で、誰だ?さっきから除いてくるのは。」
・・・気付かれたようだ。しかたなくその場から落ちて、着地した。
フット「・・・他人から名を聞く前に自分から名乗るのが礼儀だろう?」
「・・・俺の名は・・・。」
クラフト「クラフトだ。」
俺と名前が違う?どう言う事だ?
フット「・・・俺はフットだ。」
クラフト「何!?」
・・・まずい。今思い出した。今の俺の名前は「偽名」だった。
・・・俺はここに来る前にも殺しをしていた。その名は広まった。
「殺戮のマスター、クラフト・ザ・ブロード」と。
その後、姿を消した。そのつもりも無く・・・。
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「・・・お・・・い・・・・大・・・夫・・・?」
フット(・・・誰だ?)
「おーい。大丈夫ですかー?」
フット「・・・誰だ?」
カズ「あ、僕ですか?カズですけど・・・。」
フット「いや、すまないな・・・。」(人間か・・・)
・・・ばたり。
カズ「あ、ちょ・・・起き・・・ちょっと・・・だ・・・。」
フット「・・・どこだ?」
カズ「あ、気が付いた。また倒れちゃったから、家まで運んできたんですよ。今は親がいないから大丈夫ですけど・・・。」
フット「そうか・・・すまないな。」
「カズー?」
フット「ん?」
カズ「あ、勝手に入ってきちゃだめって言ったのに・・・あ、この子、ゼロって言うんです。ボロボロの所を拾ったんですよ。」
フット「そうか・・・。」
ゼロ「カズー。このひとだれー?」
カズ「あ、まだ聞いてませんでしたね。お名前は?」
フット(・・・本名は、ダメだな・・・)「・・・フット、だが・・・。」
カズ「フットさん・・・ですか。ゼロ、この人はね、フットっていう人だよ。」
ゼロ「フット?フットー!」
フット「あっ!?」
カズ「あーあーダメだよ、この人怪我してるんだから・・・。」
ゼロ「けが?」
カズ「そ、だからあんまり動き回っちゃだめだぞ。」
ゼロ「はーい。」
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・・・その後、義理の兄として一緒に暮らしていた。あの日が来るまでは・・・。
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「臨時ニュースをお伝えします。連続殺人犯、クラフト・ザ・ブロードの逮捕の為、警官達は警備を最厳重にし、全力をあげて探している模様です。」
カズ「とうとう警察も本気を出したんだ。ここにも来るんじゃ?」
フット「ああ・・・そうだな。」
ゼロ「カズー。けいさつってなに?」
カズ「警察っていうのは、悪い人を捕まえる人たちなんだよ。」
ゼロ「悪い人?」
カズ「そ。ゼロも、悪い人には気をつけるんだぞ。」
ゼロ「はーい。」
フット(・・・これ以上迷惑はかけられないな・・・。)
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その夜、一週間しか一緒に暮らしてない家族と、何も言わずに別れた。
・・・ただ、それだけなのに、後悔をしていた。
クラフト「・・・お前には、死んでもらう。」
フット「・・・殺さない程度に相手をしてやろう。」
クラフト「ク・・・なめるな!!」
バキィ!!!・・・・・・・・・・
ばたり・・・
フット「・・・フン。こっちの台詞だ。」
俺はすぐに裏道の奥へと昔の俺を運んだ。
フット「・・・・・・・・・・。」