ライトカオス記念読みきり「光」の続き

俺とシャインの慌しくも平和で楽しい一日はこうして過ぎる。

朝、シャインを起こし、両親を起こし、シャインの餌を作る。
TVで朝のニュースなどで世間の情報収集
そして学校がある日ならば用意し、学校へ
休みなら、そのままTVを見る。

あとは敏輝のオムツを替えたり、シャインと敏輝が遊んでるのを眺めたりと平和な日々・・・。


こうして毎日の楽しい、平和な日々が続くと思っていた・・・。

シャインが来て半年・・・。
いつもの朝のニュース。
俺はそれを聴きながら、新聞を読んでいた。
俺がある記事に目を奪われたと、同時、ニュースキャスターが記事と同じ内容の事を話し始めた。


『チャオがこの世に産まれ、早16年になります。
チャオ達は2年に一度、世代が代わると言われております。
2年毎にその世代のチャオ達が一斉に死ぬ・・・、寿命を迎えるそうです。
今年も例外ではなく、寿命を迎えるチャオ達が沢山いるそうです・・・。
これにてチャオ関係のニュースを終わらせていただきます。
次はお天気のコーナーです。』

今、シャインは3歳だ。チャオの歳は人間とは違い、半年で1歳だ。
つまり来年のシャインを拾った頃には、寿命を迎えることになる・・・。

俺が自分自身で忘れてた事だ・・・。
俺はこれから、忘れないでちゃんと、現実を見よう・・・。
シャインが寿命を迎えるその時まで、この胸に沢山の思い出を作れるように・・・。

あのニュースを見てから、俺とシャインと敏輝はもっと遊ぶようになった、思い出を沢山、残すために・・・。

年越し、俺は既に大学への進学を決めていた。
チャオの研究を将来、する為だ、研究し、そして少しでも人とチャオが長く一緒にいられるように・・・。

それからも、光輝とシャインの日々は続いていく・・・。
そう、後悔しないために頑張る日々が・・・。


あれからまた約半年が過ぎた・・・。

もうすぐシャインが家に来て1年、つまり寿命の4歳に近づいていった。

大学に無事に入学した光輝は、去年シャインと出会った日を通り越し、既に3日が経とうとしていた。

「シャイン、今日はどうする?また散歩でも行くか?」
座っていたシャインが立ち上がり、手を挙げ、ハーイと答える。
「よし、じゃあ行くか!」
「チャオ!」
ちなみに両親と敏輝は母の実家に言っている。
俺はシャインがいるので、残った。

いつも通りに近所をぐるぐると回る、ただ何気ない散歩でも俺達には大事な思い出作りだった。

三週ぐらいして家に戻った。
「歩くだけでも流石に疲れたな~、晩御飯まで少し寝ようか」
「チャオ!」
シャインは元気よく、そう答えた。

そして・・・。
「うぅぅ・・・ん・・・、7時か寝すぎたな、おい、シャイン起き・・・っ!」
俺の目に映ったのは、確かに自分の横にいた筈のシャインがいないと言うことだった。
「シャイン!シャイン!どこだ!いるなら返事をしろ!」
しかし、その問いかけに答えるものはいない。

「チッ、もう寿命・・・?いや昼間はあんなに元気だっただろ・・・、冷静になれ、冷静に・・・。」
まるで自分に言い聞かせるように、そして呪文のように呟く。
「冷静に、冷静に・・・。よし、探す!」
俺は冷静になった頭でまず家の中を探し始めた。
自分の部屋の押入れ、ベッドの下。そして居間などの家をくまなく探したが何処にもいなかった。
光輝は家を出て、シャインと今まで行った場所を回った。
光輝は色んな所を走りながら探していたがシャインとの思い出が走馬灯の様に次々と思い出されていた。

夏・・・。初めてシャインが家に来て敏輝と一緒に遊んでた事、家族で海に行った事・・・。
秋・・・。紅葉狩りとは名ばかりの紅葉見、秋は夏よりよく木の実を食べていたシャインを見ていた事・・・。
冬・・・。雪が積り、雪合戦や雪だるま・・・、クリスマスパーティ・・・、年越しにシャイン用に作った餅を一生懸命、食べるシャイン・・・。
春・・・。お花見、特製桜餅を食べるシャイン、大学の入学式に行く、途中にシャインが鞄に入ってた事に気付いたり・・・。

そんな、シャインと過ごした日々が頭の中で駆け巡っていた。
「後悔しないように、って頑張ってきたのに・・・、後悔ばかりじゃないか・・・。」
後悔ばかりが襲ってくる中、光輝はシャインで思い当たる場所は全て回った筈だと思っていた・・・。
「クッ・・・。何処なんだ・・・。やっぱり寿命を迎えたのか・・・?」

このページについて
掲載号
週刊チャオ ライトカオス記念号
ページ番号
2 / 4
この作品について
タイトル
ライトカオス記念読みきり「光」
作者
銀チャオ
初回掲載
週刊チャオ ライトカオス記念号