第3話 勇者の目覚め
ソニクサは眠り続けた。
空の上から降ってきたのだ。
死んでいてもおかしくない重傷のはずである。
その重い傷を癒すようにソニクサは三日も寝続けた。
だがその眠りはただの治癒ではなく別の意味が含まれていた。
異なる世界から訪れた存在がチャオワールドに馴染むための時間であった。
世界が彼を受け入れないことには存在できない。
ゆえに彼が世界に浸透しなければならなかった。
そしてソニクサは目を覚ました。
ついに英雄がその言葉を発する時が来た。
その第一声がこれだ。
「俺、チャオになってる~~!?」
ソニックにそっくりなハリネズミだった体はソニック似たチャオの形に変わっていた。
世界を移れば姿も変わるものである。
これも世界に馴染むための反応と言っていいだろう。
ソニクサはぷにぽよになった自分の体を撫でたりつねったりした。
体はどこまでもぷにぷにのぽよぽよで、いくら叩いてもぷるぷる震えるだけ。
痛みで覚める夢ではなかった。
その事実にソニクサは困惑する。
「そんな……、チャオに……、チャオになっちまったぜ、のー!」
嗚呼、こんな可愛い体になってしまって一体どうすればいいのだ!
ソニクサは心の中で神にそう叫び問いかけた。
「いや、待てよ? 今の俺は可愛いチャオなのか……? ということは」
ソニクサの頭はハリネズミであった頃と遜色なく回っていた。
チャオになったにもかかわらず、そして寝起きであっても、脳の働きには変わりがなかった。
これは幸いなことだったかもしれない。
「つまり俺は可愛いペットとして養ってもらうことが可能ってことだろ!? とぅーいーじーな人生到来だぜ!」
これまでソニクサはそっくりさん芸人として働いて生計を立てていた。
だが大して人気のある芸人ではなかったから収入は厳しかった。
生活苦から解放されると思ったソニクサは戸惑いから一転して大喜びする。
「これからは可愛く楽に生きていくぜ! いや、生きていくチャオ~~!」
「あっ、ソニクサさん目を覚まされたのですね!」
ソニクサの看護をしていた医者のチャオが部屋に入ってきて、彼の目覚めに気が付いた。
医者チャオがソニクサの容態を確認するともう動き回っても構わない状態のようだった。
そこで医者チャオはソニクサを城の中にある謁見の間に連れていった。
姫の願いに応えて現れたチャオに国王も興味津々なのだった。
ソニクサは王の前で挨拶をした。
「俺の名前はソニクサっていうチャオ! この度は王様に拝謁できて光栄の極みチャオ~~!」
「なんだその語尾は! ふざけているのか!」
超怒られた。
つづく!!
怒られてしまいましたね!
次回どうなってしまうのでしょうか??
楽しみにしてください!
面白かったら感想くれると嬉しいな~~(←要求かよっ!)